慢性副鼻腔炎
第6回目は慢性副鼻腔炎(蓄膿症)です。
☆はじめに
慢性副鼻腔炎はお子さんにも大人の方にも見られる病気です。副鼻腔炎は、急性のうちは容易に治療できますが、これを放置して慢性に移行させてしまうと、完全な治療はなかなか困難です。しかし、適切な治療を行い、日常生活に気を配れば、病気の進行と不快な症状を抑えることができます。
☆副鼻腔ってどこにある?
鼻の中央を通る空洞を鼻腔、鼻腔の周囲にある空洞を副鼻腔といい、顔の約2/3の割合を占めています。鼻腔と副鼻腔は2~3ミリの小さな連絡口(自然口)でつながっています。
☆慢性副鼻腔炎とは?
副鼻腔の粘膜が風のウイルスや細菌などにより慢性的な炎症を起こし、腫れて副鼻腔という空洞に膿(鼻汁)がたまった状態です。粘膜の腫れや膿で鼻腔との連絡口がつまっているため、換気や老廃物の排出が十分できず膿もどんどんたまって、その刺激でさらに炎症が悪化するという悪循環に陥ります。
☆原因
鼻の中を左右に分けている鼻中隔の曲がり(鼻中隔曲湾症)や細菌感染、また感染に伴うアレルギー(アレルギー性鼻炎)、粘膜の防御機能の低下などが考えられています。
また特殊なタイプとしては、上の奥歯の病気から起こるものもあります。その他、さまざまな環境要因の影響も指摘されています。
☆おもな症状
鼻汁 |
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粘液(鼻汁)の分泌が増え、鼻腔内にたまったり、外に流れ出ます。鼻汁は粘りがあったり、黄色みかかることもあります。また後鼻漏といい、のどに鼻汁がまわることもあります。 |
鼻づまり |
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鼻腔粘膜が腫れることで鼻がつまります。また鼻腔内の炎症が長引くと粘膜が腫れ、その上に新しく炎症が起こってポリープ(鼻茸)を作り鼻づまりの原因となります。 |
嗅覚障害 |
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鼻がつまり臭いを感じる神経細胞に空気が届かず、臭いがわかりにくくなります。 |
痛み |
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頭重感や頭痛、頚部・鼻根部、眼の奥に痛みがあります。 |
神経症状 |
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注意力、根気力、持久力などがなくなります。 |
☆おもな検査、診断
鼻鏡検査 |
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前鼻鏡という器具を使って鼻の内部を診察します。前鼻鏡では見えない鼻の奥を内視鏡で診察することもあります。 |
画像検査 |
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レントゲン撮影やCT(lコンピュータ断層撮影)によって副鼻腔の状態を確認し、病変の位置や範囲、程度を診断することができます。 |
鼻腔通気度検査 |
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鼻に栓をして鼻腔に空気を送り、空気の通りやすさを調べます。手術前の検査、あるいは治療効果を確認するために行います。 |
☆おもな治療法
薬物療法 |
①マクロライド系抗生物質製剤 |
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鼻腔内の炎症の原因となる細菌を死滅させる、鼻汁の分泌を抑制する、粘膜表面の線毛の働きを良くする、炎症を誘発する物質(サイトカイン)の産生を抑制するなど、複合的な作用があります。飲み方は通常量の半分から1/3の量を2、3ヶ月続けて内服します(少量長期投与法) |
②去痰剤 |
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鼻汁の粘りを抑えてさらさらにし、鼻腔外への排出をうながします。 |
③消炎酵素剤 |
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鼻汁の粘りを抑えて、線毛の働きを活発にします。 |
局所療法 |
①鼻腔内清掃 |
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鼻腔と副鼻腔をつなぐ自然口を通りやすくするため、鼻腔内の鼻汁や膿を吸引します。 |
②副鼻腔洗浄 |
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抗生物質を混ぜた生理食塩水を使って、副鼻腔内を洗浄します。鼻腔内の粘膜にあらかじめ麻酔を軽くかけてから行います。 |
③薬液の吸入 |
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鼻腔、副鼻腔の洗浄によって自然口が開いたら、抗生物質やステロイド剤を鼻腔と副鼻腔内に噴霧します。噴霧にはネブライザーという器具を使います。 |
手術療法 |
粘膜表面の病変部位や鼻茸(はなたけ)を、全身麻酔のもと内視鏡ビデオシステムによって切除し、また副鼻腔の自然口を大きく開け、換気と排泄がスムーズに行われるようにします。これを内視鏡下鼻内副鼻腔手術といい10日間ほどの入院が必要です。手術後は薬物療法を継続して行い、再発を予防します。 |
☆日常生活におけるケア
・ 過労、ストレスに注意。
・ 手をよく洗うなど清潔に十分気をつけましょう。
・ 風邪の予防。
・ バランスのとれた食生活を実施しましょう。
・ 虫歯があれば早めに治療を。
・ 正しい鼻のかみ方
① かむ前に空気を取り入れるために口から息をすいましょう。
② 片側を押さえて片方ずつかみましょう。
③ ゆっくり少しずつ押し出すようにしましょう。
④ 鼻汁が残らないよう最後まで出し、鼻の下をぬぐいましょう。
・ 悪い鼻のかみ方
鼻をすすったり、一息に強くかんだり、両方一度にかんだりしないよう注意しましょう。