川崎病とは

 

1967年に川崎富作博士が、手足の指先から皮膚がむける症状を伴う小児の「急性熱性皮膚粘膜りんぱ腺症候群」として
発表された症候群が、新しい病気であることがわかり、博士の名前をとって川崎病という病名になりました。

 1歳前後をピークに4歳以下の乳幼児が多く(全体の80%以上)、男子がやや多いです。再発することが2~3%あります。
この病気は世界各地で報告されていて、とくに日本人、日系アメリカ人、韓国人などアジア系の人々に多くみられます。
原因はまだはっきりしていませんが、ウイルスや細菌に感染したのをきっかけにそれを防ごうとする免疫反応がおこり、
全身の中小の血管に炎症が生じるのではないかと考えられています。

 

症状

 

川崎病は2つの疾患をもっています。急性熱性疾患(急性期)と冠動脈障害を主とした心疾患(後遺症)です。

 

急性期の症状

この病気は特徴的な症状から診断します。次にあげる6つの主な症状のうち、5つ以上がみられた場合と、4つの症状しかな
くても冠動脈瘤がみられた場合は川崎病(定型の川崎病)と診断します。症状はそろわないものの、他の病気ではないと
判断された場合は「非定型の川崎病」とされています。

主な症状は
1.5日以上続く発熱(ただし、治療により5日未満で解熱した場合も含む)
2.発疹
3.両方の目が赤くなる(両側眼球結膜充血)
4.唇が赤くなったり、苺舌がみられる
5.病気の初期に手足がはれたり、手のひらや足底が赤くなったりする熱が下がってから、手足の指先から皮膚がむける
膜様落屑(まくようらくせつ)がある
6.片側の首のリンパ節がはれる


急性期はふつう1~2週間で回復しますが、症状の強い場合は1か月以上続くこともあります。ごくまれですが敗血症の
ようになったり、心臓の筋肉に炎症がおきる心筋炎のため心不全となり、死にいたる場合もあります。
この病気の特徴は、急性期の1、2週間を過ぎた後に、心臓に栄養を与えている冠動脈に瘤ができる場合があることです。


冠動脈障害


冠動脈障害は、川崎病の急性期に冠動脈に瘤ができ、その後、血栓ができてつまったり、血管壁が厚くなったりして
血管が狭くなり、心筋に十分な血液がゆきわたらなくなって、おこります。


 

治療
 


急性期の炎症が強かったり発熱が10日以上続いたりすると、冠動脈瘤ができやすくなるので、少しでも早く炎症をおさえる
治療が必要です。
  
原因療法はありません
川崎病は原因がわかっていないので、原因療法はありません。 免疫グロブリン製剤の大量点滴と、アスピリンを併用して
内服するのが一般的です。
 

免疫グロブリン製剤

抗炎症薬を用いますが、免疫グロブリン製剤を大量に静脈内注射する方法は、冠動脈病変の発生を減少させ、早く解熱
させることができるので、中心的な治療法になっています。

 

冠動脈の合併症

 冠動脈の病変は、免疫グロブリン製剤を用いても数%程度であらわれてしまいます。その場合は、冠動脈の病変部で
血液が固まって血管を塞いでしまうのを防ぐために、抗血液凝固薬を用います。 冠動脈の病変は、かなりの確率で正常化
しますが、永続的な変化を残すこともあります。場合によっては、外科手術によってバイパスを作る治療を行うこともあります。

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