めまい 


第15回目はめまいです。
 
     めまいの原因は様々ですが、「耳に原因があって起こるめまい」と「脳に原因があって起こるめまい」に大きく分けられ、それぞれめまいの庄城や随伴症状などに違いがあります。
 
めまいが起こる仕組み

  「めまい」は平衡感覚をつかさどる器官が障害されることによって起こります。
  平衡感覚に関係しているのは、鼓膜の内側の「内耳(ないじ)」と呼ばれる部分です。ここには、体が動く方向を感知する「三半規管(さんはんきかん)」と体の傾きや重力・加速度などを感知する「耳石器(じせきき)」、音を感じ取る「蝸牛(かぎゅう)」などがあります。内耳で感知した情報は「前庭神経(ぜんていしんけい)」によって脳に伝えられます。私たちの脳は、内耳の三半規管や耳石器からの情報、目・筋肉・関節からの情報を統合して、体の平衡感覚を保ちます。よって内耳の病気だけでなく、脳の病気でも「めまい」が起こるのです。
 
めまいの種類

  めまいは症状によって3つのタイプに分類されます。
 
☆ 回 転 性 め ま い ぐるぐる回るように感じられるめまいです。
自分や周囲の景色がぐるぐる回るように感じられます。
症状が激しい場合には、立っている事もできません。
☆ 浮 動 性 め ま い ふわふわした感じのめまいです。
歩くと自分がふわふわしたり、地面が揺れているように感じられます。
☆ 立ちくらみのようなめまい 立ち上がったときに目の前が暗くなるような症状です。
脳の血管の循環不全で起こります。
  
  
耳が原因のめまい

  耳に原因があるめまいでは「難聴」、「耳鳴り」を伴うことが多く、「食事ができない」、「まっすぐ歩けない」ほどめまいの程度が強いのも特徴です。
  耳が原因でめまいが起こる病気は次のようなものがあります。
 
 
☆ メニエール病 三半規管の内部を満たしているリンパ液が増え、内耳が膨れ上がりめまいが起こります。耳鳴りや難聴とともに回転性めまいが発作的に起きます。めまいは2~3時間でおさまりますが、めまいの発作が繰り返し起こるのが特徴で、めまいを繰り返すにつれて難聴が進行していきます。
内耳のむくみをとるため、利尿薬ステロイド薬を使用します。
☆ 前庭神経炎 前庭神経に炎症が起きて回転性の強いめまいが起きます。
風邪をひいて1~2週間ほど経ったころに回転性の強いめまいが突然起こります。
食事をすることも動く事もできないほどの強いめまいは1週間ほど続きますが、2~3週間ほどで自然に治り、後遺症もありません。
☆ 突発性難聴 急激に強い難聴が起こります。
めまいや耳鳴りを伴う場合と伴わない場合があります。めまいの発作が起こる場合には回転性のめまいで、発作の症状はメニエール症とよく似ていますが、めまいが繰り返し起こることはありません。
ステロイド薬を中心とした薬物療法を行います。
放置すると難聴や耳鳴りがひどくなり、後遺症として残る場合があるので早く治療を受けることが大切です。
☆ 聴神経腫瘍 内耳から脳に行く聴神経にできる腫瘍で、浮動性のめまいが起こり徐々に耳の聞こえが悪くなります。良性の腫瘍ですが進行性の腫瘍なので、腫瘍が大きくなると周囲の脳組織を圧迫して様々な症状を引き起こします。

 
脳が原因のめまい

  脳に原因があるめまいでは「意識が遠のく、手足のしびれ、物が二重に見える、ろれつが回らない」といった症状を伴う事があります。難聴や耳鳴りといった耳の症状は伴いません。
 
☆ 脳梗塞・脳出血によるめまい 脳の血管が詰まる「脳梗塞」や脳の血管が破れる「脳出血」によるめまいは、一刻も早く治療を開始しなければ命に関わる事もあります。これらが原因の場合には、めまいに伴って『意識障害(意識がなくなる、ぼんやりするなど)、しびれ、手足の麻痺やろれつが回らない、強い頭痛、頻回の嘔吐』などが起こります。
 こうした症状が現れている場合には、すぐに救急車を呼び、受診してください。
☆ 椎骨脳底動脈循環不全によるめまい 頚部を通り、脳や内耳など神経組織に栄養を送っている「椎骨脳底動脈」の血液の流れが悪くなって回転性のめまいが20~30秒間起こります。
 動脈硬化で首の血管が狭くなったり、老化のために首の骨が変形して血管が圧迫されるなどが原因となります。
☆ 良性頭位変換性めまい 頭を動かしたとき、「軽い回転性のめまい」が起こり、20秒以内にめまいが治まります。過労、睡眠不足、お酒の飲みすぎなど原因は多岐に渡ります。
 「良性頭位変換性めまい」を診断された場合は、何もせず、ゆっくりと体を休める事が大切です。
 
その他のめまい

  脳と耳に原因が有る場合のめまいについて述べてきましたが、その他の要因でくる「めまい」の例をいくつか挙げます。
 
☆ 更年期障害 女性では更年期の症状としてめまいが起こることがあります。めまいの起こりやすい年齢は一般的に40~60歳といわれています。女性では更年期障害の時期とも重なります。
☆ 起立性低血圧によるめまい 急に立ち上がると血圧が下がって脳の血液循環が悪くなり、立ちくらみのようなめまいが起こります。お年寄りで多く見られるめまいの原因の一つです。これは、老化により血圧を一定に保つ機能が衰えるからです。
 また、薬剤の服用などが原因となっていることもあります。
☆ 血圧によるめまい 一般的に低血圧の人にめまいが起こりやすく、脳の血液の循環不全が原因で立ちくらみのようなめまいが起こります。ほどんどが10秒以内におさまります。
 高血圧を患っている人でお薬によって血圧が下がりすぎてめまいが起こることがあります。降圧剤を飲んでいる人は、血圧を定期的にチェックして下さい。
☆ 神経症からくるめまい 対人関係によるストレス、家庭内のストレスなど精神的ストレスの蓄積によってめまいが起こることがあります。
 
 
最後に

  めまいの症状や原因は多岐に渡ります。前述のような症状を呈しても、違う病気が潜んでいたりもします。また病気によっては、早期に治療を開始しなければ重大な後遺症を残したり、命に関わる事もあります。
  症状が有る場合、個人で判断する事なく速やかに医療機関を受診し、適切な検査を受けて原因を診断してもらう事が大切です。
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