COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは


COPD(シーオーピーディー)はChronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略で、

「慢性閉塞性肺疾患」と呼ばれます。

COPD はタバコが原因で肺に炎症が起こり、空気の通り道である気道が狭くなる病気です。空気の出し入れが難しくなり、息がしにくくなります。せきやたんの症状が長い期間にわたり続く状態を「慢性気管支炎」、炎症が進んで肺胞が壊れてしまった状態を「肺気腫」と言い、この2つがともなって「COPD」になります。
COPD
患者さんの90%以上に喫煙歴があるため、別名「タバコ肺』とも呼ばれています。また高血圧や糖尿病などの方もCOPDになっていることが多く、注意が必要です。

 

WHO(世界保健機関)では、死亡原因の第4位にあげていて、2020年には第3位になると予測しています。日本では40歳以上の8.5%(男性13.1%,女性4.4%)、COPDの潜在患者は530万人以上と推測されていますが、治療を受けているのはそのうち5%未満といわれています。

 

タバコを吸わない人でも4.7%の人がCOPDにかかっています。これは、副流煙による「受動喫煙」の危険性を物語っています。


副流煙には喫煙者が吸う主流煙よりも発ガン物質をはじめとする有害物質、たとえばタール、トルエンなどが多く含まれています。

喫煙者が近くにいる人は、タバコを吸わなくても喫煙者と同等か、それ以上の有害物質を吸い込んでいるのです。家族がヘビースモーカーだったり、分煙されていない職場で仕事をしている人は、COPDにかかる危険性が高まります。

  どのくらいタバコを吸えば COPDになるのですか? 

 

はっきり何本とは言いきれませんが、タバコとCOPDの関連を示す数字として、「喫煙指数」があります。

 

「喫煙指数」=1日に吸うたばこの本数X喫煙している年数

 

たとえば、1日に40本、20年間喫煙している場合は40×20800で、喫煙指数は800。この指数が700を超えるとCOPDだけでなく、咽頭ガンや肺ガンの危険性も高くなるといわれています。

喫煙指数が同程度の男女を比較すると、男性よりも女性のほうが重症化しやすい傾向があるとわかっています。

 

壊れた肺は元には戻らない

COPDには、頑固なセキやタンが続き気管支が狭くなる「慢性気管支炎」と、肺の組織が破壊されて息切れや呼吸困難を起こす「慢性肺気腫」が含まれます。
どちらも初期には自覚症状がほとんどない場合が多く、ゆっくりと進行して、しだいに重症になっていきます。

呼吸機能の低下が進んで通常の呼吸では十分な酸素を得られなくなると(呼吸不全)、呼吸チューブとボンベの酸素吸入療法なしには日常生活が送れなくなってしまいます。

 

診断と予防

診断は「スパイロメトリー検査」によって行われます。息を深く吸い込んで思い切り最後まで吐き出した量が肺活量ですが、最初の1秒間に吐き出す息の量が肺活量に占める割合(1秒率)によって、呼吸機能を計測します。この1秒率が70%以下の場合にCOPDと診断されます。
タバコを吸い続けている方、吸ったことのある方は、ぜひこの検査を受けてみてください。

 

予防は、言うまでもなく禁煙です。家族にタバコを吸う人がいる場合は、喫煙の有害性を話し合って、禁煙をすすめましょう。

禁煙したくてもなかなかできない人は、禁煙外来などで医師に相談してみてください。
とくに不安な方には、医療機関で肺機能検査や胸部CT検査を受けることをおすすめします。

 

治療と日頃の注意

COPDを治療することにより、病気の進行を遅らせ、息切れなどの自覚症状を軽くし、運動能力を高めます。治療を行うことで、同年代の健康な人と同じような生活を送ることができます。
COPD
の実際の治療は、さまざまな方法を組み合わせて行います。

 · 禁煙:治療の基本です。
 · ワクチン接種:急性増悪を防ぎます
 · 薬物療法:息切れをやわらげ、運動能力を高めます
 ·  呼吸リハビリテーション
   
理学療法:息苦しさをやわらげます
   
運動療法:呼吸に関係する筋肉を鍛えます
   
栄養管理:体重減少を防ぎます
 · 在宅酸素療法:COPDが進行し、低酸素血症になったときに導入します

 

 息が切れると動くのがおっくうになり、運動不足になって運動機能が低下して呼吸困難がさらに悪化する、という悪循環になりがちです。そのため、ウォーキングなどの軽い運動や腹式呼吸も効果的です。

 

肺や気管支の障害は、インフルエンザや肺炎などにかかった場合に重症化する危険性があります。

インフルエンザが流行する冬季にはうがいをする、秋にワクチン接種受けておくなど十分に注意することが大切です。

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