骨粗鬆症 


第16回目は骨粗鬆症です。
 
   骨粗鬆症とは?
 
  骨粗鬆症とは長年の生活習慣などにより、骨の量が減ってスカスカになり、骨折をおこしやすくなっている状態、もしくは骨折を起こしてしまった状態のことをいいます。
 私たちの骨は年齢とともに増加し、20~30歳頃にピークとなり、その後、徐々に減少します。ですから、骨量の減少それ自体は、生理的現象ともいえます。
 そこで、若年成人(20~40歳)の平均骨量を100%とした場合、70%未満となったときはじめて、骨粗鬆症と診断されます。
 
  女性は閉経後に急に骨量が減るため、50歳過ぎから骨粗鬆症の頻度が増えます (閉経後骨粗鬆症)が、男性は80歳頃から頻度が増えます。
 はっきりした病気がなく、閉経や加齢による生理的な骨量の減少が、何らかの原因(体質、生活習慣等)でひどくなったものを原発性骨粗鬆症といい、多くの場合これに当てはまります。これに対して、ステロイドの服用、糖尿病、卵巣摘出手術後などが原因となり発症する場合を、続発性骨粗鬆症といいます。
 
  自覚できる症状があらわれるのは、更年期を過ぎてからです。軽度の症状としては、立ち上がる時や、重いものを持つ時の背中や腰の痛みがあります。また、背中や腰が曲がってきた、身長が縮んできたなどと言われたら、骨粗鬆症の可能性大です。さらに重度になると背中や腰の激しい痛みのため、寝込んでしまったり、ちょっと転んだだけで手首や足の付け根を骨折するようになります。こうなると背中の曲がり方もひどくなり、身長の縮みも目立つようになります。
 
 
  治療について
 
 
   最大の治療は予防であり、生活上の注意がとても重要です。それでも骨量の減少の程度がひどいときには日常生活の注意に加え、薬物療法が必要になります。
 
  ○予防のための日常生活の注意点
 
  骨粗鬆症を予防し、骨を強くするための三原則は、食事・運動・日光浴です。
 
  ① 食事
 
    日本人の食事で唯一不足しているのがカルシウムです。そこでまず第一にカルシ ウムを多くとるよう心がけましょう。
    骨粗鬆症対策のために必要なカルシウムの量は、 1日900~1000mgです。カルシウムを多く含む食品として、乳製品(牛乳、ヨーグルト、スキムミルク、チーズ)、大豆製品(納豆、生揚げ、豆腐など)、魚介類(小魚、いわし、煮干、桜えび、わかめ)、野菜(小松菜、切干大根)などがあります。これらを積極的にとるようにしましょう。
    また、ビタミンDを多く含む食品(まぐろ、さけ、さば、卵黄、しいたけなど)を一緒に摂るとカルシウムの吸収がよくなります。いろいろな種類の食品をバランスよく、しっかり食べることを基本にして下さい。その上で最低限、毎日の食事に、あと200mgのカルシウム、目安として牛乳1本分・豆腐なら半丁を加えてください。
      
  ② 運動
 
    適度な運動で骨が刺激されると、体内に入ったカルシウムが有効に使われ、骨量が増えることがわかっています。骨を強くするためには、生活の中に散歩やゲートボールなどの軽い運動や、こまめに家事をするなどの活動的な習慣を取り入れましょう。
    大切なことは毎日楽しみながら続けることです。継続することにより骨といっしょに身体を支えている筋肉も強くなり、身のこなしがよくなりますから転倒による骨折の防止もできます。
    目安としては、散歩なら1日30分間、2キロメートルを歩くくらい(バスの停留所 2~3)でじゅうぶんです。水中ウォーキングは膝や腰に負担をかけずにできる手ごろな運動です。自分のペースで30分程度続けましょう。
 
  ③ 日光浴
 
    カルシウムの吸収に欠かせないビタミンDは、人間の皮膚が日光の紫外線を浴びることでつくられます。目安としては、夏なら木陰で30分、冬なら手や顔に1時間程度で充分で、赤く日焼けするほど浴びる必要はありません。ガラスは紫外線をあまり通さないため、窓越しの日光浴ではあまり効果はありません。
   その他、加工食品やインスタント食品にはリンが多く含まれていますが、このリンのとりすぎはカルシウムの吸収の低下をまねくため、注意が必要です。
   タバコや、過度のアルコールは骨質や骨量に悪影響をおよぼします。
   また、若い女性の無謀なダイエットによる、骨量の低下も問題になります。
   生活習慣を改善し、このような危険因子を除くことが骨粗鬆症の予防において重要になります。
 
  ○ 薬物療法
 
    骨は常に古くなった骨を一定量壊して(骨吸収)、その分新しい骨を作っています(骨形成)。
    このように骨組織は一定の周期でつくりかえられており、この古い骨が新しい骨に更新される過程は骨リモデリングとよばれています。
   このバランスがくずれると骨量が減り、骨粗鬆症になります。
   骨粗鬆症の治療に使われている薬は、骨をつくる力を強めたり、骨を壊す力をおさえて、骨量が減るのを予防したり、骨量を増加したりします。
   代表的な薬は次のとおりです。個々の症状にあわせ、2種類以上を併用する場合もあります。
 
治療薬 効果 注意事項
カルシウム製剤 カルシウムを補給することによって、骨吸収を促進させるホルモンをおさえます。 ・便秘ぎみになることがあります。
・栄養物でもあり、食後に飲むのが自然で、吸収もよくなります。また寝る前に牛乳を飲むとよく寝られてカルシウムも補給でき一石二鳥です。
エストロゲン製剤 閉経後骨粗鬆症の治療に用います。骨吸収をおさえ、骨量を増加させます。 ・1日1回飲めばいいので、飲み忘れないため朝1回の服用がよいでしょう。
・性器出血がみられることがあります。
活性型ビタミンD製剤 腸でのカルシウム吸収を増やし、骨をつくる細胞を活性化します。 ・1日1回朝、または1日2回朝、夕飲みます。
・胃部不快感、は吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。
カルシトニン製剤 骨吸収をおさえ、また直接いたみをやわらげる作用もあります。 ・1~2週間に1回の割合で筋肉注射します。
・注射した後すぐに、顔のほてり、めまい、吐き気が起こることがあります。
ビスホスフォネート 骨吸収を強力におさえて、骨量を増やします。 ・薬の種類によって飲み方が違います。指示を守って服用しましょう。
・他の薬や飲食物の影響を受けやすいお薬です。起床時などの胃の中が空っぽのときに飲んでください。
・胃部不快感、吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。
イプリフラボン 骨吸収を抑制します。
また新しい骨をつくるのを助けます。
・1日3回食後に服用します。
・胃部不快感、吐き気など胃腸の調子をおかしくすることがあります。

 
メナテトレノン
(ビタミンK
2製剤)
骨を作るのに必要なたんぱく質の合成を助け、骨量を増やします。骨吸収をおさえる作用もあるといわれます。 ・ワーファリン(抗血栓薬)と一緒に服用しては絶対にいけません。
・ビタミン剤だからと言って決められた以上の量を飲んではいけません。
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM) 新しい閉経後骨粗鬆症の治療薬です。骨や脂肪の代謝にはエストロゲン(女性ホルモン)と同じにはたらき、骨量を増加させます。 ・1日1回飲めばよいので、飲み忘れないため朝1回の服用がよいでしょう。
・ワーファリンと併用すると、抗擬固作用が減弱する場合があります。
・アンピシリンと併用すると、効果が落ちる可能性があります。
その他-骨粗鬆症のおもな臨床症状である痛みに対して、非ステロイド抗炎症薬や筋施緩薬が用いられます。

 
  骨粗鬆症はサイレントディジーズ(静かな病気)といわれるように、深く静かに 進行していきます。骨粗鬆症の予防と治療の目的は、骨折の防止です。 目立っ た自覚症状の変化がなくとも、医師の指示に従ってきちんと薬を飲むように心がけましょう。
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