疥癬とはヒゼンダニというたいへん小さなダニが人の皮膚に寄生(きせい)しておこる、かゆみを伴う皮膚の病気です。この病気には通常疥癬(つうじょうかいせん)と呼ばれるものと他の人に感染する力が強い角化型疥癬(かくかがたかいせん,別名ノルウェー疥癬)と呼ばれる2つの種類の病型(びょうけい)があります。
ヒゼンダニは、たいへん小さなダニですが、虫眼鏡で見ることができます。手首や手のひら、指の間、肘、わきの下、足首や足の裏、外陰部などに疥癬トンネルと呼ばれる横穴を掘り、卵を産みつけます。ヒゼンダニは人の体温がいちばん生活に適しており、人の肌から離れた場合、長くは生きられません。また、高熱や乾燥に弱く、50℃以上の環境に10分以上さらされると死ぬことがわかっています。
通常疥癬
通常疥癬 長い時間、肌と肌が直接触れることで、ダニが移動して感染します。少しの時間ではほとんど感染しません。まれに疥癬の患者さんが使用した寝具や衣類などを交換せずに、すぐに他の人が使用することで感染することもあります 感染してから症状が出るまでの潜伏期間は約1~2か月です。
主な症状は赤いブツブツ(丘疹:きゅうしん、結節:けっせつ)、疥癬トンネルなどです。丘疹はおなかや胸、足や腕などに、疥癬トンネルは手のひら、指の間や指の側面などにみれれます。激しいかゆみを伴います。
角化型疥癬
角化型疥癬 感染する力が強いので短い時間の接触、衣類や寝具を介した間接的な接触などでも感染します。また、皮膚からはがれ落ちたあか(角質)にも多数のダニが含まれており、感染の原因になることがあります。 感染する場合は4~5日後に発祥することがあります。
主な症状はあかが増えたような状態(角質増殖:かくしつぞうしょく) が、手や足、おしり、ひじ、ひざなどにみられます。かゆみは人によって、全くかゆみがない場合もあります。
治療にはヒゼンダニを殺すことを目的とした塗り薬または飲み薬が使われます。塗り薬が使われる場合には、塗り残しがないように通常疥癬では首から下の全身に、角化型疥癬ではかおも含めて全身にくまなく塗る必要があります。特に手や足、外陰部には念入りに塗ってください。かゆみに対してはかゆみ止めのお薬が使われます。お薬の使い方ややめる時期については、必ず先生の指示にしたがってください。
通常疥癬の場合
①介助時
長い時間、肌と肌が直接ふれないようにしてください
②就寝時
同室で布団を並べて寝ないでください
③入浴時
入浴時にタオルなど肌に直接ふれるものを一緒に使用しないでください
④接触後は
患者さんに接した後はきちんと手を洗うようにしてください
角化型疥癬の場合
①個室管理
なるべく個室を用意してください
②接触時
感染力がとても強いので、患者さんに接するときは予防着や手袋を着用してください
③衣類、寝具など
衣類やシーツなどはこまめに交換し、取り扱いは他の方とは別にしてください
④洗濯時
洗濯物は他の方とは別に扱い、乾燥機を使用するか、50℃以上のお湯に10分以上浸した後に洗濯してください
⑤掃除
ベッドマットなどは掃除機で表面をていねいに掃除してください
また、患者さんがいるお部屋には、治療を始めたときと治療が終わったときの合計2回殺虫剤を使用してください
⑥入浴時
入浴はできるだけ毎日行い、そのときには飛び散らないように厚くなったあか(角質)をしっかりこすり落としてください