インフルエンザ
第9回目はインフルエンザです。
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Ⅰ・十分注意(爆発的流行・重症化・合併症など)が必要な感染症です。
インフルエンザと“風邪”(普通感冒)のちがい
インフルエンザはよく普通感冒(以下、風邪)と誤解されますが、ウイルスの種類が異なり、高熱が出るだけでなく、場合によっては重症化し、合併症を引き起こすことのある感染症です。インフルエンザ対策のために はまず、インフルエンザと風邪(普通感冒)との違いを正しく認識し、対応することが大切です。
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インフルエンザ |
風邪 |
初発症状 |
発熱、頭痛、悪寒(寒気) |
鼻咽頭の乾燥感(喉の痛みなど)およびくしゃみ |
主な症状 |
発熱、筋肉痛、関節痛 |
鼻汁(鼻水)、鼻閉(鼻づまり) |
悪寒 |
強い |
通常強くない |
熱および熱型(期間) |
38~40度(3~4日間) |
38度前後までの発熱 |
全身痛、筋肉痛、関節痛 |
強い |
軽い |
倦怠感 |
強い |
軽い |
鼻汁、鼻閉 |
後期より著しい |
初期より著しい |
咽頭 |
充血およびひどいときは扁桃腺が腫れる |
やや充血 |
合併症 |
気管支炎、インフルエンザ肺炎、細菌性肺炎、脳症 |
細菌の二次感染 |
迅速診断法 |
あり |
一部のウイルスであり |
上記の表のような違いはありますが、重い風邪と、軽いインフルエンザを見分けることはむずかしいとされています。 早めの受診が病状の悪化を防ぎます。
インフルエンザの感染様式
通常の風邪のウイルスの感染様式は(風邪ウイルスのなかでも最も多いライノウイルスの場合)特に手から手による「接触感染」の頻度が高いといわれています。
それに対して、インフルエンザウイルスは患者のくしゃみや咳、痰などで吐き出される微粒子(飛沫)を介して感染する「飛沫感染」が中心です。
Ⅱ・インフルエンザは、日本では12~3月に流行します。
インフルエンザの流行時期は12月~3月
日本ではインフルエンザは12~3月の寒い時期に流行します。乾燥した冷たい空気で私達ののどや鼻の粘膜の防御能力が低下し、またこのような条件はウイルスの 繁殖に適していますので、感染しやすくなっていすのです。
年齢によるインフルエンザの影響
日本におけるインフルエンザの流行拡大は、小学校で始まると考えられています。小学生は罹患率が高く、それが家庭で免疫力の低い高齢者に移る事で死亡率は高く なります。
Ⅲ・重症化や合併症
インフルエンザのハイリスク群
重症化や合併症を引き起こす可能性の高いグループのことをハイリスク群といい、下記の方々が挙げられます。
・ 65歳以上の高齢者
・ 慢性肺疾患(肺気腫、気管支喘息、肺線維症、肺結核など)をもつ患者
・ 腎疾患(慢性腎不全・血液透析患者・腎移植患者など)をもつ患者
・ 免疫不全状態の患者
・ 妊娠28週以降の妊婦
・ 心疾患(憎帽弁膜症・うっ血性心不全など)を持つ患者
・ 代謝異常(糖尿病、アジソン病など)を持つ患者
インフルエンザが引き起こす合併症
インフルエンザにかかると合併症を引き起こす恐れがあります。合併症の種類はさまざまで、中には死に至る重大な合併症もあります。
インフルエンザ脳症 |
・・・ |
日本では小児のインフルエンザ脳症が深刻な問題にな っています。流行によって異なりますが、幼児を中心として、毎年約100~500人の発症、その約10~30%が死亡、そしてほぼ同数の後遺症患者が出ていると推測されています。原因は不明で、インフルエンザウイルスの感染が発症の引き 金となり、突然の高熱に始まって、1~2日以内に昏睡などのさまざまな程度の意識障害をおこし、短期間の内に全身状態が悪化し、死に至ることがあ る大変危険な症状です。 |
その他の合併症
呼吸器関係
中枢神経など |
小児に主に発症:中耳炎・副鼻腔炎・クループ
全ての人に主に発症:気管支炎・気管支喘息憎悪・肺炎
小児に主に発症:熱性けいれん・脳症 ・ライ症候群・筋炎
全ての人に主に発症:ギラン・バレー症候群・その他の精神神経症状,肝障害・心筋炎・腎不全
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Ⅳ・対策
日常生活ではまず、栄養・休息を取り、抵抗力をつけること、ウイルスに接触しないことが大切です。また、インフルエンザウイルスは乾燥を好むので、室内を加湿器などを使って適度な湿度に保つことは有効な予防法です 。以下に具体案を示します。
1. 栄養と休息
体力をつけ、抵抗力を高める。
2. 人ごみはなるだけ行かない
病原体であるウイルスをよせつけない。
3. 適度な温度、湿度を保つ
ウイルスの生存が不適な湿度、温度を心がける。
4. 手洗いとうがいの励行
手洗いは接触による感染を、うがいはのどの乾燥を防ぎ、ウイルスを防御。
5. マスクの着用
ハイリスク群など、予防が必要な方はマスクを着用する。
咳やくしゃみの飛沫から他人に感染するのを防ぐ効果も。
Ⅴ・ワクチン接種
最も有効な予防法は事前にワクチン接種を受けることです。医療機関のワクチン保有に制限もある場合もあるので、早めに予約しておく事も必要です。
特に、高齢者や心臓や肺に慢性の病気を持つ人、気管支喘息を持つ小児など 上記に挙げたハイリスク群は、重症化を防ぐためにも医師と相談の上、早めに接種することが望ましいと考えられます。
インフルエンザワクチンの種類
以下の2種類のワクチンがあります。
日本のワクチンはスプリット・ワクチンを使用しています。現在、世界的にもほとんどスプリット・ワクチンが使用されています。ワクチンを接種すること でインフルエンザ感染への抵抗ができ、重症化するインフルエンザウイルスの体内への侵入の可能性を低くすることができます。ただし、ワクチン用のウイルスは鶏卵で培養するため、卵アレルギー、けいれんの既往症、免疫不全のある人、熱を出しているなどの場 合には接種できないことがあるので、医師と相談する事が必要です。
1. スプリット・ワクチン
ウイルスから抗原となる赤血球凝集基の表面タンパクを取り出したワクチン
2. 全粒子ワクチン
ウイルス粒子全体を不活性化したワクチン
接種適応時期 インフルエンザワクチンは接種してから効果がでるまで約2週間かかります。冬期にインフルエンザは流行するので、11月中旬頃には接種をしておくとよいでしょう。2回目に接種する場合は1回目から1~4週間あける事が必要です。
ワクチンと型 ワクチンにはAソ連型(H1N1)、A香港型(H3N2)、B型の混合ワクチンなので、いずれかに効果を示します。しかし、インフルエンザウイルスの型は突然変異により変化するので、ワクチンが効きにくい事もあります。
妊婦とワクチン インフルエンザワクチンは病原性を失活させたワクチンなので、胎児に影響を与えるとは考えられていません。よって、妊婦でも接種可能です。妊娠初期を除いた期間で接種することが望ましく、医師と相談するとよいでしょう。現時点では妊婦にワクチンを接種した場合に生じる特別な副反応の事例はありません。
副反応 主に接種した箇所の赤み、腫れ、痛みが出ることがありますが、2~3日で消失します。まれに発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などが起こることもあります。卵アレルギーを持っている人は必ず、医師にその旨を伝えましょう。
Ⅵ・インフルエンザの治療法
抗ウイルス薬による治療
抗ウイルス薬は体内で 起こるインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬で す。治療効果は正しく薬が使用されれば優れています。インフルエンザに罹患して48時間以内に服用しないと効果は減少します。よって、風邪と思っても、医療機関へ早めに受診した方が適切です。ハイリスク群に入っている方は特に気をつけることが必要です。
対症療法
発熱や痛みに対して解熱鎮痛剤などが使われます。解熱鎮痛剤はインフルエンザそのものを治しているわけではあり ません。抗生物質も、細菌が原因の合併症には有効ですが、インフルエンザのウイルスには効果はありません。 しかし、加齢によって免疫が低下している高齢者では肺炎を引き起こす事もあるので抗生物質が必要な場合もあります。
なお、小児のインフルエンザに対し、解熱剤であるアスピリンの使用は、世界的に禁忌となっています。また、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸も使用しない 方がよいので家族の方など、勝手に解熱剤を使用する事はないようにしましょう。