ドライスキンとは、文字通り皮膚が乾いた状態をいいます。さまざまな原因によって表皮角質層の水分が失われると、皮膚本来のバリア機能が低下して、手荒れ、肌荒れ、皮膚のかゆみ等の症状が起こります。これらの症状を防ぐには、乾燥に対する正しいスキンケアが求められます。
ドライスキンになりやすい人としては、まず主婦があげられます。主婦は家事で手を使うことが多く、水仕事や洗剤の刺激などで皮膚のバリアが失われやすいことから、ドライスキンによる手荒れをおこし、湿疹などができやすくなります。このような状態は主婦湿疹とも呼ばれます。 また、男性では50歳、女性では40歳ごろからホルモン分泌の影響で皮脂の分泌量が減り、皮膚が乾燥しやすくなります。
こうした皮脂の欠乏によるドライスキンの症状は、皮脂欠乏症ともよばれます。ドライスキンは、いずれの場合も適切なスキンケアや日常生活での注意を守ることで改善することが可能です。
皮膚のいちばん外側にある角質層は、わずか1/50~1/100ミリの厚さしかありませんが、水分をたっぷり含むことで肌のうるおいを保ち、また外部からのさまざまな刺激から身体を守る大切な役割を果たしています。
ところが空気の乾燥や、炊事、洗濯に使う洗剤やお湯、年齢とともに進む皮脂分泌の低下などによって皮膚のバリア機能がダメージを受けると、角質層の水分が奪われ、皮膚は乾いてドライスキンになります。
ドライスキンになると角質層がスカスカになってしまい、皮膚に必要な水分が失われる上に外からホコリや細菌なども侵入しやすくなってしまいます。ドライスキンの主な症状は、手荒れ、肌荒れとよばれるものですが、ひどくなるとかゆみやひびわれなどを起こします。
水分
健康な角質層は10~20%の水分を含んでいますが、10%を割ると皮膚がカサカサしたドライスキン状態になります。みずみずしい健康なお肌を保つには、できるだけ乾燥や刺激をさけ、角質層の水分を逃さないようにするスキンケアが必要です。
脂分
皮脂腺から分泌される皮脂は、皮膚の表面にオイルバリアをつくって水分の蒸発を防いでいます。ドライスキンを防ぐには、この皮膚の脂分を取り除きすぎないようにすることが大切です。日常の生活の中では石けんや洗剤によって皮脂が失われますので、脂性のクリームなどで脂分を補うことも欠かせないスキンケアといえます。
天然保湿因子(NMF)
天然保湿因子角質層の中にはNMFと呼ばれる保湿因子が存在し、この成分が水分を保持して皮膚のうるおいを保っています。ドライスキンの状態では、このNMFの量も少なくなっています。NMFはスキンケアクリーム等にも配合されていますが、代表的なもので尿素を配合した保湿剤があります。
肌を清潔に保つ
新陳代謝によって、皮膚の表面には古い角質や皮脂などが蓄積されていきます。また、外部からのほこりや化粧品なども、皮膚に日々付着しています。こうした汚れをとり除くことは、皮膚の健全な生理機能を保つうえでの第一歩。肌を清潔に保つスキンケアを心がけてください。肌の弱い人には、低刺激性石けんの使用をおすすめします。
肌の乾燥を防ぐ
入浴や洗顔のあと、はじめは水気のある肌でも、しばらくすると肌は乾燥してつっぱったりカサついたりします。これは、石けんなどの成分によって汚れと一緒に皮脂膜がとり除かれてしまうため。その失われた皮脂をクリームやローションで補うのが、乾燥に対するケアの基本です。
生活環境を整える
ドライスキンになりやすい方は、部屋の湿度が下がりすぎないように気をつけましょう。また、お風呂での石けんの使いすぎやこすりすぎ、炊事のときのお湯、洗剤の使いすぎにも要注意です。水仕事の段取りを工夫したり、手ぶくろを効果的に利用するなどして、肌を保護するように努めましょう。