声帯ポリープとは

声帯ポリープは、風邪や声の出しすぎなどが原因で声帯に炎症が起こり、声帯の縁に小さい隆起ができる病気です。声の出しすぎで声帯を酷使することなどが原因でできます。教師、歌手、アナウンサーなど、日常的に声を出す人は、リスクが高くなります。ふだん大きな声を出すことが少ない人が、運動会の応援などで急に大声を出したりすると、声帯ポリープができることがあります。さらに、不眠が続くと声帯が腫れやすくなります。水を飲まないと体内の水分が少なくなり、声帯が乾燥しやすくなります。また、たばこを吸っていたり、毎日のように多量の飲酒をしている人は、声帯に負担がかかり、声帯ポリープができやすくなります。

 

声帯とは

声帯は喉頭(いわゆる喉仏)の奥にある、左右一対のヒダ状の組織です。筋肉でできていて、その上にじん帯とさらにその上のやわらかい組織からなる粘膜固有層があります。肺から空気が送り出され、筋肉の力で寄せられた声帯の間を空気が通り、気流で左右声帯の粘膜同士が吸い寄せられると、声帯粘膜が振動し声が出ます。声を出すためには、振動する粘膜層が重要なのです。炎症は主にやわらかい粘膜固有層で生じます。

症状とセルフチェック、受診の目安

声帯ポリープの主な症状は「声がれ」です。そのほかに「発声時にのどの違和感が強くなる」「発声が続かなくなる」などの症状もあります。

<セルフチェック方法>立っていても座っていてもよい

(1)口を閉じ、鼻からたっぷり息を吸う。

(2)「あー」と、ひと息で何秒間、声を出し続けられるか計る。

目安として、15秒以上出し続けられれば健康な状態です。もしそれより早くかすれたり、途切れてしまう場合は、声帯に何らかのトラブルが起きている可能性があります。

「声がれが10日間以上続く」、「15秒間以上続けて声を出せない」に加え、「のどに異物感がある」場合は、声帯ポリープなど声帯の異常が疑われます。のどを専門とする耳鼻咽喉科を受診することが勧められます。

 

声帯ポリープの治療(手術以外)

声帯ポリープの治療は手術と手術以外の方法に分けられます。通常、初期の声帯ポリープは、手術以外の次のような治療が行われます。

 

 声を出さない(数週間)(沈黙療法)

 薬「ステロイド薬」ののみ薬や吸入薬、「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」ののみ薬を使って声帯の炎症を緩和します。必要に応じて「去痰(たん)薬」ののみ薬を使うこともあります。

 声の衛生指導

言語聴覚士から声の出し方やのどを守る方法の指導を受け、声帯に負担をかけない発声法を身につけることで、改善が期待できます。

 

声帯ポリープの治療(手術)

呼吸の妨げになるほどの大きな声帯ポリープがある場合や、喉頭がんが疑われる場合などには、早めに手術で声帯ポリープを切除する必要があります。また、初期の声帯ポリープ治療を1~2か月続けても改善しない場合も、手術を検討します。

 

喉頭顕微鏡下手術

声帯ポリープの手術は、声帯を手術用の顕微鏡で拡大して行う喉頭顕微鏡下手術が基本となります。この手術は、全身麻酔をしたうえで行い、一般に2~5日間程度の入院が必要です。手術後は一時的に声帯が傷ついているため、3日間~1週間程度は声を出さずに安静にする「沈黙療法」が必要になります。声を出すことが多い職業の人でも、手術後およそ3~4週間で仕事への復帰が期待できます。

 

声帯ポリープの予防

声帯ポリープを予防するためには、声が出ないときに無理に出そうとしないことが大切です。声を出しにくいということは、すでに声帯に炎症が起きているということです。無理をすると炎症がポリープに進展してしまいますので、声が出ないときはなるべく安静に過ごしましょう。

また、声帯の粘膜にとって乾燥がよくないということも知られています。たとえば、講義をしたり会社でプレゼンをしたりと、長時間声を発し続ける際に喉が乾燥し、炎症が起こりやすい傾向があります。途中で休憩して水分をとるように意識しましょう。また、温かい飲み物を飲んだり、蒸気を吸い込んだりして、喉を加湿することも予防につながります。

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