涙の分泌量が減ったり、量は十分でも涙の質が低下することによって、目の表面を潤す力が低下した状態をいいます。目の表面が乾いてしまうと まばたきするだけでも摩擦による傷ができてしまいます。現在、日本では約800万人ものドライアイの患者さんがいるといわれています。
一つでも、次のような不快な症状が当てはまる方は、要注意! 早めに眼科医の診察を受けることをおすすめします
・目が乾く ・目がゴロゴロする ・視力が落ちてきた
・目が痛い ・光がまぶしい ・涙が止まらない
・目が思い ・視界がかすむ ・涙が出ない
(1) 年齢:年を重ねると涙の分泌量や質が低下します。
(2) 性別:女性の方が男性よりドライアイになりやすいことが知られています
(3) 長時間のパソコン作業
(4) 乾燥した環境
(5) コンタクトレンズ使用者
(6) まつ毛の内側に行うアイメーク:油分が分泌される出口を塞いでしまうおそれがあります。
(7) 喫煙:たばこの煙に曝されると、涙の状態が悪くなる。
(8) 内服薬:血圧を下げる薬や精神疾患薬など「抗コリン作用」をもつ薬。
(9) 点眼薬:点眼薬の中には涙の安定性を低下させ、また角膜に障害を与えやすくなる成分がふくまれていることがあります。点眼薬の中に含まれる防腐剤などによる障害も起こりやすくなります。
(10)全身の病気:シェーグレン症候群(自己免疫疾患)
目は、まぶたと涙によって守られています。まぶたを開いたり、閉じたりする「まばたき」は、涙の分泌を促す刺激となって涙を出させたり、目の表面に涙を均一に分布させたりする働きを担っています。涙は目の乾燥を防止するだけでなく、ゴミを流し去ったり、殺菌したり、栄養を補給する重要な働きをしています。また、目が鮮明な像を結べるように角膜表面を滑らかに保ちます。
通常 余分な涙は目頭にある「涙点」から排出されるため、目の表面の涙は常にちょうどよい量に調節されています。
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「涙液層」
瞼の奥にある涙腺から、まばたきとともに分泌さ
れます。この水分には目の傷を治したり感染を防
いだりする成分が含まれてます。
「ムチン層」(粘液層)
結膜の杯細胞と角膜上皮細胞から分泌されている
粘り気のある物質で、水をはじく性質の角膜に涙をのせる役目をしています。最近の研究から、ムチンが涙の安定性、つまり「質的な異常」と関わっていることがわかってきました。
「油層」
上下のまつ毛の内側にその出口がある「マイボーム腺」から分泌され 角膜上皮からの涙液の蒸発を防いで涙液をうすく広げる役割があります。
ドライアイは涙そのものが減ってしまう涙液減少型「量的な異常」と、涙の性質が変化し、悪くなってしまい涙の蒸発量が増える「質的な異常」の2つに大別されます。
・涙液減少型・・・・中高年、女性に多く、ホルモンバランスの崩れによる涙の分泌量が減るためと考えられています。そのほか病気(シェーグレン症候群)や薬の副作用(抗コリン作用)で起きる場合もあります。
・涙液蒸発型・・・涙の性質が変わってしまい涙の働きが不十分になり蒸発しやすくなって起こります。目を取り巻く環境や生活習慣の影響が大きいといえます。また、油層の油分が出にくくなった場合もこのタイプのドライアイがおこると考えられます
ドライアイが疑われる場合 眼科では次の様な検査が行われます。
BUT検査:色のついた検査液を点眼し、目を開けたままにして、目の表面が乾くまでに何秒かかるかを計測し、涙の乾きやすさを調べます。5秒以内に乾燥して黒っぽく見える部分が現れた場合は異常と診断されます。
染色検査:目の表面の状態を調べるにはスリットランプと呼ばれる顕微鏡を使って、フルオレセインという黄色の染色液を少量点眼します。傷がある部分に色素がたまって傷の広がりが分かります。この検査で重症度を調べます
シルマー検査:一般的な検査で、瞼の縁に濾紙を挿入し、目の表面が刺激されることによって分泌する涙の量を濾紙で調べます。
ドライアイの治療は 涙の量や乾きやすさ、傷などをしらべ治療します。
(1) 点眼液(軽症から重症まで基本は点眼液です)
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2):ヒアレイン点眼液
3):ジクアス点眼液
ムコスタ点眼液UD
☆☆ 効果的な点眼液の使い方 ☆☆
1日に2、3回点眼してもあまり効果がないため、ある程度何回も点眼する必要があります。ただし、点眼の回数が多すぎると、せっかく分泌された涙をながしてしまい、かえってドライアイを起こす原因にもなるので注意が必要です。
点眼後に目をパチパチとすると点眼液が流れてしまいます。1滴点眼して1分ほど目を閉じていると効果的です。
(2) 涙点プラグ
重症のドライアイの場合は「涙点プラグ」という小さな栓のような器具を用いた治療が効果的です。涙液の出口である涙点を塞ぎ 涙液の流出を止めます。
利点・・・涙液不足に効果がある。
シェーグレン症候群など涙液分泌の低下例によい。
すぐに効果がでる。
すぐにはずせる
保険適応がある
欠点・・・抜けるときがある
合わない人がいる
長期に使用すると涙点部分に肉芽形成がおきることがある
涙液もたまるが、分泌物などもたまる
(1) VDT(visual display terminals)作業などの目の酷使
画面を見続けるときはこまめに休憩をとりましょう。休憩中は積極的にまばたきをするのもよいでしょう。また、目を大きく開いていると涙の蒸発量が増えるので、目の高さより低い位置に画面を置き、見下ろして使うのが望ましいといえます。
(2) エアコン
エアコンの風が直接目に当たらないようにすることが大事です。また、加湿器を置くなどして、室内に湿度を上げる工夫をするとよいでしょう。
(3) コンタクトレンズは常に清潔に保ち、目の疲れや乾燥を自覚したときは 装着時間を短くして眼鏡に替えましょう。定期的検査を受けることも大切です。
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(5) 目のストレッチで血行促進を
眼球を上下に何回か動かしましょう。
最後に眼球をグルグル回しましょう。
(右回り・左回り)