①緩和ケアとは?
がんは3人に1人亡くなられている、日本で一番の死因の病気です。
がん患者さんは、がん自体の症状の他に痛み・倦怠感、精神的落ち込み・焦り、迫り来る死への恐怖、自分の人生の回帰など、様々な苦痛ががん患者に襲ってきます。それを支えるのが「緩和ケア」であり、がんと診断を受けた時から「緩和ケア」が開始されるのが理想です。患者さんやその家族の苦痛を取り除き、自分らしい生き方を送られるようにするケア、つまり「緩和ケア」なのです。
②がんの痛みとは?
がん患者さんの全ての人に痛みがある訳ではありません。痛みはがんの進行度には関係なく発生しますが、末期癌の患者さんの70%が痛みがあるようです。がんの種類によって、痛みの発生する度合い・部位が異なります。
③がんの痛みの度合いによって投与方法と薬剤を選択
WHOが推奨する除痛ラダーで選択した薬剤を鎮痛薬の5原則でペインコントロールしていくのです。
1986年にWHO(世界保健機関)はがん疼痛の薬物療法の5原則を以下のように示し、これが現在でもがん疼痛の薬物治療の標準方式となっています。
1️ 可能な限り経口投与する
2️ 時刻を決めて規則正しく使用する
3️ 除痛ラダーにそって効力の順に薬剤選択
4️ 患者ごとに個別な有効量を決定し投与する
5️ その上で服用に際して細かい配慮を
④オピオイド以外の薬物療法
弱い痛みの段階で使われる鎮痛剤にNSAIDs(非ステロイド抗炎症鎮痛剤)またはアセトアミノフェンがあります。どちらもオピオイド系の鎮痛剤と比べると痛みを抑える効果は弱いです。抗炎症効果・解熱などの効果もあり、がんの痛みだけでなく様々な痛みに対して使われます。さらにオピオイド系の鎮痛剤と併用することで、鎮痛効果を高めることもできます。
⑤医療用麻薬(オピオイド系鎮痛剤)とは
オピオイド系の鎮痛剤は医療用麻薬と言われている鎮痛剤です。麻薬と言うと薬物乱用や薬物中毒など、その言葉の強いイメージが先行され、医療用麻薬の使用の足かせになっています。欧米と比べても、日本での医療用麻薬の
使用率は非常に低いものとなっています。更には、日本人の美徳の一つである「我慢する心」も医療用麻薬の使用頻度が低い事に関係すると思われます。
医療用麻薬には、作用の強弱により弱オピオイド(リン酸コデイン、ペンタゾシンなど)、強オピオイド(オキシコドン、モルヒネ、フェンタニル)に分けられます。
その使用はWHOが推奨している5つの原則に基づいて使用することによって、がんの疼痛が95%(末期がんの痛みは75%)が痛みをコントロールできます。痛みがある場合に医療用麻薬を使っても薬物依存になりません。
⑥最後に
緩和ケアとはがんになった時に、心と身体を楽にして充実した時間をやすり戻せる大事な治療でありケアなのです。苦痛が緩和されることで、穏やかな時を過ごせます。
もしがんになった時に、忘れないでください。勇気を出して言ってみてください。
「緩和ケアを受けたい」
瑠璃光薬局では全面的にサポートできる薬局でありたいと思っております。