てんかん

 

てんかん発作と聞くと、泡をふいて全身をけいれんさせるといったイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。日本におけるてんかん患者は人口の1%、約100万人と推定されているにもかかわらず、まだまだ正しく認識されていないようです。

 

・てんかんとは

てんかんとは病名ではありません。てんかん発作をおこす多くの病気の総称です。てんかん発作は、脳の神経細胞が過剰に放電することで起きますが、その原因は様々で、発作にもいろいろなタイプがあります。大きく全般発作と部分発作の2つに分けられ、前者には欠神発作(典型例では10秒前後ぼんやりする)、ミオクローヌス発作(覚醒時に身体がぴくつく)、全般性強直間代発作(全身けいれん)が、後者には発作が巻き込まれる脳の部位によってさまざまな発作症候があります。たとえば側頭葉てんかんで起こる部分発作の典型例では、突然動作が止まり一点を凝視し、口をもぐもぐするといった症候がみられます。

 

・てんかんの診断

患者本人や家族からの情報はとても重要で、これが診断の決め手になることもあります。問診の際には、初めての発作はいつか、前兆はあるか、発作の様子や持続時間・誘因・頻度などを正確に伝えることが重要です。問診とあわせて、脳波やMRIなどの検査が行われ、てんかんのタイプが診断されます。てんかんのタイプが正しく診断されなければ、適切な治療が行えないばかりか、場合によっては、発作がむしろ悪化することも考えられます。

 

・てんかんの治療

薬物療法が必要と判断されれば、抗てんかん薬が投与されます。通常、全般発作にはバルプロ酸(デパケン)が、部分発作にはカルバマゼピン(テグレトール)がまず使用されます。単一の薬剤で効果が不十分な場合には、複数の薬剤を投与することもあります。ただし、薬の発作抑制効果と副作用のバランスも考えねばなりません。学習能力に影響のある小児や、妊娠を希望する女性にも配慮が必要です。薬の飲み合わせによって、抗てんかん薬の効果が強まったり、逆に弱まったりすることもあるので、注意が必要です。てんかん患者の約7割は、薬物療法で発作がコントロールできるといわれています。薬物療法のほか、外科的療法が対象となる場合もあります。

 

てんかんは、正しい診断と適切な治療を受けることで、充実した社会生活を営める可能性があります。条件を満たせば、自動車の運転免許の取得・更新も許可されます。社会全体がてんかんに理解を深める必要があるでしょう。

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