うつ病
第16回目はうつ病です。
うつ病
感情の異常、意欲の異常、思考の異常が、自律神経系の身体症状を伴って現れた状態です。
○感情の異常→抑うつ気分や不安、焦燥感などがみられます。
○思考の異常→考えがまとまらないなどのような思考の抑制や、注意が集中できないなどの症
状がみられます。
○意欲の障害→意欲の低下がみられ、気力や根気がなくなる傾向があります。
うつ状態のときには、自責的になって自分を厳しく責めたり、非常に批判的になり、自殺してしまいたいような衝動に陥る事もあります。またこのような感情、精神面の症状、状態に加えて、さまざまな自律神経症状を主体とした身体症状が現れます。うつ病の基本的な症状は、生命、感情の障害ともいわれています。
うつ病の種類
○内因性うつ病
なんらかのきっかけが誘因となり、はっきりとした原因がわからないまま発祥します。
○心因性、または反応性うつ病
心理的な原因によって起こるうつ病。抑うつ神経症ともいいます。
○身体因性うつ病
体の病気が基礎にあり、二次的に発病します。
その他、脳動脈硬化症など、脳に器質的な障害があって起こるものを『器質性うつ病』、肝臓病
、腎臓病、感染症などがきっかけになって発症するものを『症候性うつ病』と呼んでいます。
また、薬の副作用でうつ病が現れることもあります。
うつ病の症状
憂うつ気分を基礎にした心と体の症状が現れます。
○強い罪悪感
○気分や意欲の低下
○考えがまとまらない
○物忘れが多くなる
○睡眠・食欲の障害
○身体の症状、気分の減退
上記の症状がうつ病の代表的な症状です。
うつ病になりやすいタイプ
○循環性格
社交的で情が深く陽気な側面があるが・・・循環気質は、社交的で人づきあいがよく、気立てもよくて親切です。
きさくでもあり、ほがらかで、ユーモアにも富んでいるというところがあり、情の深い、陽気な側面を持っているのが特徴です。その反面、情動的で熱しやすく気分に浮き沈みがあります。
○執着性性格
きちょうめんで生真面目、責任感が強く・・・きちょうめんで、生真面目はいいのですが、ものごとにこだわりを持ち続け、なにごとも徹底的にやらなければ気がすまないという執着的なところがあります。
責任感が強く、凝り性で、仕事も熱心にします。手抜きが出来ない責任感が強くて、ごまかしやずぼらはできません。その反面、要領がわるいという側面があります。
○メランコリー親和性性格
一定の秩序を保つことに執着する・・・メランコリー親和性性格の人は、たいへんきちょうめんですが、あるひとつの定まった秩序が保たれているところでしか、安定できないという傾向があり『自分よりも他人のため』と言う傾向が強く働きます。
つまり、このタイプの人は、常に一定の秩序にとらわれ、秩序を保つことに執着します。テーレンバッハという人が指摘しています。
うつ病の治療
専門医で適切な治療を受ければ早く治ります。
うつ病の治療は、休養、薬物療法、精神療法の3本柱からなっています。うつ病にはいろいろな症状や病気の原因があり、軽度なものから重度までさまざまです。
また、それを引き起こす原因も複雑にからみあっています。そのため、これらの要素を考えながら治療を行います。
薬物療法
心の病気には、脳や中枢神経に何らかの障害が起きていて、それが引き金となり、さまざまな症状が引き起こされるとされています。そのためこうした異常を改善するために薬物はとても効果的です。うつ病の治療に関しても薬物療法はとても大切な療法のひとつと考えられています。
主な薬物
○抗精神病薬
○抗うつ薬
○気分安定剤(抗躁剤)
○睡眠薬
などのお薬が主に使用されます。
☆うつ病治療の第一選択薬として最も多く使われているSSRI
うつ病の治療薬で現在最も多く使われているのは、抗うつ薬のSSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)といわれる薬です。SSRIはセロトニン系に限定して働きかけるため、従来使われてきた三環系抗うつ薬と違い、他の神経伝達物質への余分な作用がありません。そのため副作用がかなり軽減され、うつ病治療薬の第一選択薬として定められています。また一日一回の服用の薬剤もありますので、服用しやすくなったといえるでしょう。一方、睡眠薬や安定剤は即効性はありますが、漫然と長期間服用することでかえってうつ病を悪化させてしまうことにもなりかねないため、注意が必要です。
☆抗うつ薬への正しい理解
SSRIは薬の効果が現れるまで1~2週間かかりますすが、その間に副作用が現れる場合があります。具体的には吐き気、胃のもたれ、眠気などです。あまりひどくて我慢できない場合は他の薬剤に変更しますが、なんとか日常生活が送れる場合には、しばらく我慢をして服用を続けていくと、ほとんどの場合、副作用は自然に消えてしまいます。また、治療に使う薬の量は、副作用や効果をみながらその人の状態にあうよう微調整していきます。『薬の効果が効く十分な量』を服用することが、非常に重要なポイントです。自己判断で薬を中止したり量を調節したりせず、必ず主治医と相談して治療を進めていくことが大切です。
☆治療期間の目安はどれくらい?
抗うつ薬などの薬を急に中止すると、めまい、や知覚障害、睡眠障害、不安などの症状が現れることがあるため、うつ病の症状が安定しても急にやめずに、徐々に薬の量を減らしていくことが大切です。うつ病の症状がなくなっても、最低3~6ヶ月は再発防止のため少量の服用を続けます。また、うつ病は治療を開始すれば、すぐによくなるという病気ではありません。よくなったり、悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ回復に向かっていきます。ですから、たとえ一時的に症状が悪化することがあっても、焦らずにじっくりと治す気持ちで取り組んでいくことが大切です。
精神療法・心理療法
うつ病(心の病気)には薬物療法と並んで精神療法が存在します。精神療法とは主に医師と患者のコミュニケーションによって心の問題が徐々に軽減されていくような方法をいいます。
主な精神療法
○認知行動療法
○家族療法
○精神分析的精神療法
○自律訓練法
○支持的精神療法
○音楽療法
○行動療法
○手段精神療法
○カウンセリング
○芸術療法
上記の療法が用いられます。