結節性甲状腺腫とは
 



くびの前面にある甲状腺が、様々な原因で大きくなったものを、甲状腺腫といいます。

甲状腺の局所が部分的に腫れている状態、つまり甲状腺にしこりがある状態を「結節性甲状腺腫」と呼びます。

大部分の患者さんはしこりがある以外に自覚症状はありません。最も大切なことはしこりが良性か悪性かの鑑別をすることです。大部分のしこりは良性結節ですが、一部に悪性のしこりもあるため、精密検査で両者を鑑別します。

甲状腺の腫れに気が付いたり、健康診断で指摘された場合には、甲状腺(内分泌)専門の医療機関への早めの受診をお勧めします。



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良性結節


甲状腺の良性結節には以下のような疾患があります。

腺腫:
腫瘍性の細胞増殖による病気ですが、増殖している細胞は良性です。ほとんどの場合、甲状腺機能は正常ですが、一部に機能性結節といって、勝手に甲状腺ホルモンを産生・分泌している腺腫があります。その場合はバセドウ病とよく似た症状(動悸・発汗・やせなど)を起こします。


腺腫様甲状腺腫:
結節が1つだけのこともありますが、複数の結節を甲状腺内に認めることもあります。結節の数が多い場合、甲状腺全体が腫れているように触れる(びまん性甲状腺腫)こともあります。結節の内部が崩れて、液状に変化(嚢胞化)していることもあります。大部分の腺腫様甲状腺腫は甲状腺機能が正常ですが、一部にやはり甲状腺機能亢進症を起こす場合があります。


甲状腺嚢胞:
甲状腺の内部に液状に変化した部分があることをいいます。、多くは腺腫様甲状腺腫に伴い存在します。内部の液体は、サラサラしたものから粘調性のものまで様々で、色も黄色透明なものからチョコレート様なものまであります。



悪性結節



甲状腺癌:甲状腺の細胞が悪性腫瘍となり増殖した病気です。甲状腺癌は、さらに増殖している腫瘍細胞の種類により、乳頭癌・ろ胞癌・未分化癌・髄様癌に分類されます。
悪性リンパ腫:稀ですが、甲状腺原発のリンパ腫も存在します。



検査

 


画像検査として、甲状腺超音波検査・CTスキャン・MRI・放射線シンチグラムなどがありますが、もっとも簡単で有効なのは甲状腺超音波検査です。甲状腺超音波検査の結果、細胞の性質まで詳しく調べた方がよさそうであれば、穿刺吸引細胞診という検査を行うことがあります。

血液検査では、主治医の先生の判断により、甲状腺ホルモンや甲状腺が作っているもの(サイログロブリン)を測定することがあります。甲状腺結節が稀に甲状腺ホルモンを過剰に作ってしまうことがあるので、甲状腺ホルモンに異常がないか調べるために検査します。またサイログロブリン値の変動は、病気の強さの判断の目安になることがあります


 

治療

 


良性と判断できるものでも、ある程度の大きさがあり、自覚症状を伴うものや、次第に大きくなる傾向が続くものは、治療の対象になります。
「嚢胞」の場合、針を穿刺し内容液を吸引して小さくすることができます。ただし、吸引して一旦小さくしても、また液体が貯留して元の大きさに戻ってしまうこともあります。

良性の結節(腺腫)の場合、甲状腺ホルモン剤を内服して結節を小さくする方法もあります。

悪性の場合やその可能性がある場合、あるいは良性でも腫瘍が非常に大きかったり、ホルモン分泌が強く健康を害すると判断される場合には、手術になります。

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