夜尿症

   

なぜ「夜尿」をするのか?

おねしょは、夜眠っている間に作られる尿の量と、その尿をためる膀胱の大きさとのバランスがとれてないために起こります。
したがって、夜間につくられる尿量が多すぎたり、膀胱が小さすぎるとおねしょになってしますのです。 

 「おねしょ」と「夜尿症」は違うのか?

幼児期に、夜寝ている間におもらしをすることを「おねしょ」といいます。
ですが、5~6歳を過ぎても月に数回以上、おねしょをすることを「夜尿症」といっています。
夜尿症は6歳児の10~20%、小学校高学年の約5%にみられるといわれています。

       夜尿症には「多尿型」、「膀胱型」、「混合型」の3つのタイプがあります。

多尿型
一晩の尿量はふつう200cc以下ですが、250cc以上ある場合を多尿症といいます。このタイプは、比較的身長が低く、二次性徴(思春期の徴候)も遅れがちで、習慣的に水分を多くとっている傾向があります。
また、抗利尿ホルモンという、「尿を濃くして、尿量を少なくするホルモン」の分泌が夜間に低下しているケースがみられます。

膀胱型
夜間の尿量が少ないのに、膀胱が小さいために夜尿をしてしまいます。おしっこをためる力が弱いのが特徴で、がまん尿量が少ない場合を膀胱型といいます。このタイプは、日中もおしっこが近く、冷え性を伴っていることが多い傾向があります。また、日中に、パンツにおしっこをちびってしまうこともあります。

混合型
夜間の尿量が多く、しかも膀胱が小さい場合を「混合型」といいます。「混合型」は、多尿型や膀胱型より重症のタイプといえます。

おねしょ(夜尿症)はいつまで続くのか?

おねしょ(夜尿症)はそのうち治る、とよくいわれます。実際、第二次性徴を迎える12歳を過ぎるころには、夜尿はみられなくなることが多いのですが、成人まで続くこともまれではありません。
「夜尿症が1年でどの程度よくなるの?」については、いくつかの報告があります。夜尿症の自然治癒率(特に何も対応しない場合)は、1つ年をとるごとに10~15%程度とされます。
ご家族の多くは、すぐにでも夜尿症が治って欲しいと考えておられるようですが、通常いわれているより、治るまでには長い期間かかる場合が多いといえます。夜尿症は医療機関で適切な治療を受けることで、治癒率は2~3倍高くなります。

お子さまと接する際の留意点は?

「起こさない」「あせらない」「おこらない」の3点を念頭にお子さまに接することをお勧めします。
また、夜尿をしなかった朝は、たくさんほめてあげるよう心がけましょう。
家庭でできる対策として、次の5つのポイントが重要です。
①無理やり夜中に起こさない
②水分のとり方:朝・昼に多く、夕方から制限、夕食は早めに
③規則正しい生活のリズムを確立
④寒さ(冷え性)への対策
⑤おしっこのがまん訓練
   

医療機関で実施する治療は?

お薬で治療を始める前に、まず生活指導をしっかり守ることが大切です。そのうえで薬物治療やアラーム療法を受けることになります。

薬物療法 
夜尿症の治療は大きく分けて次の3種類があります。
①抗利尿ホルモン薬(内服薬/点鼻薬)尿を濃くして、尿量を少なくする作用を持つ薬剤で、内服薬と点鼻薬があります。
②抗コリン薬(内服薬)
尿を多く膀胱にためられるように、膀胱機能などを安定させる薬剤で、がまん尿量を増大させます。
③三環系抗うつ薬(内服薬)
もともとはうつ的な状態を明るくしてくれる薬剤ですが、抗利尿ホルモンの分泌を促す作用と抗コリン作用とがあります。

夜尿症のタイプによって上記の薬剤を単独、もしくはいくつかを組み合わせて用いますが、使う量や試用期間は年齢や症状に応じて異なります。

アラーム療法
パンツに水分を感知するセンサーを取り付けておくと、夜尿の水分を感知し、アラームが鳴ります。子どもがそのアラーム音で目覚めることによって排尿を抑制し、睡眠中の膀胱容量が大きくなっていくといわれています。
なお、アラーム療法は、最近では覚醒排尿を促すのが目的でなく、寝ている間の排尿抑制訓練であると考えられています。
    

まとめ

おねしょはありふれた子どもの症状です。もし夜尿があったとしても、お子さまやご自分を責めたりしないでください。そして夜尿のなかった日はしっかりとほめてあげましょう。
本人の治そうという意欲が大事ですので、家族全員が協力して「夜尿症(おねしょ)は必ずなおるのだ」ということを本人に自覚させ、安心させてあげましょう!

 
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