バセドウ病
第19回目はバセドウ病です。
バセドウ病とは??
甲状腺から甲状腺ホルモンが多量に分泌され、全身の代謝が異常に高まる病気です。
甲状腺機能亢進症の原因となる疾患で、甲状腺機能亢進症の90%以上がバセドウ病が原因でおこります。
体内血液中の甲状腺に対する抗体(自己抗体)が原因で、甲状腺を異常に刺激して、甲状腺ホルモンを過剰に作ってしまい、分泌されることで起こる自己免疫性の疾患です。
男女比は1:5で女性に多く、発症年齢は20~30歳代が多いのですが、どの世代でも起こります。
誘因となるものは?
妊娠、出産、感染症、ストレスが誘発の一因とされていますがはっきりとは分かっていません。
また遺伝的要因も大きいとされています。
バセドウ病の症状は?
3大特徴として
①動悸 ②甲状腺の腫れ ③眼球突出
がそろって現われることが多いのですが、高齢者の場合③眼球突出は見られないことが多いとされています。
その他の症状
頻脈 |
手指の震え |
体重減少 |
いらいらなどの神経過敏 |
発汗過多(多汗) |
食欲亢進 |
下痢・軟便 |
疲れやすい |
バセドウ病の検査方法は?
① 血液検査
Ⅰ.甲状腺ホルモン(FT4、FT3)のどちらかの高値
Ⅱ.甲状腺刺激ホルモン(TSH)の低値
Ⅲ.抗TSHレセプター抗体(TRAb、TBⅡ)の高値(30%以上)または甲状腺刺激抗体(TSAb)高値
② 放射性ヨード検査で甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性の確認
以上の検査と所見からバセドウ病の診断が確定されます。
また、高周波超音波による画像診断、窂刺吸入細胞診、X検査、CT検査、MRI検査を併せて行うこともあります。
治療法は?
治療の方法としては
①内服療法 ②外科療法による甲状腺の摘出 ③放射性ヨード療法
があります。
① 内服療法
☆ 最も一般的に行われている治療方法です。
☆ 甲状腺ホルモンの合成を阻害する メルカゾールまたはプロパジール、チウラジールを服用します。
☆ 4週間ほど服用を続けると甲状腺ホルモン値が下がりはじめ、2カ月もすると自覚症状はなくなり、完全に治った
ようになりますが、薬を中止すればすぐに再発します。
☆ 2年後に約半数が薬を中止出来ますが、再発する場合もあります。甲状腺ホルモン量を一定に保つために
一生服薬を続けなければいけない場合もあります。
☆ 手指の震えがひどい時には、β‐ブロッカー薬を併用することもあります。
② 外科療法による甲状腺の摘出
☆ 肥大した甲状腺のかなりの部分を切除し、甲状腺そのものの量を減らす方法です。
③ 放射性ヨードを服用するアイソト-プ治療
☆ 米国では主流ですが、日本ではそれ程行われていません。
☆ 放射性ヨードをカプセルに入れて服用し、大きくなり過ぎた甲状腺を放射線で破壊する治療です。
バセドウ病の薬のこと
副作用について 最も多いのは蕁麻疹です。生じた場合は、薬剤を変更しますが、それでも生じる場合があります。
この場合には、内服、外用で抗ヒスタミン剤を併用する場合もあります。
最も注意すべき副作用は、無顆粒球症です。
白血球の1つである顆粒球がなくなり、細菌と戦う力がなくなる為、細菌感染を起しやすくなります。
薬を服用して3カ月以内に起こりますので、この間は注意が必要です。
● 突然の高熱
● 扁桃腺、のどの痛み
● 全身の倦怠感
が現われた場合は、すぐに医療機関を受診して、白血球を調べる必要があります。
そのまま服用を続けると、敗血症による多臓器不全で死亡する危険があります。
その他、肝障害、胃腸障害、関節痛、筋肉痛、食欲不振、嘔吐、下痢の副作用が起こる場合があります。
気になる事や心配事がありましたら、お気軽にご相談下さい。