夏は過呼吸がおこりやすい季節、花火やコンサートなどで集団で発生すると言う事も度々ニュースになります。
間違った対処法では危険な場合もありますので正しい知識が必要になります。
このとき血液がアルカリ性に傾き、呼吸性アルカローシスとなっている。
何らかの原因で呼吸を必要以上に行うことがきっかけとなり発症する。
パニック障害などの患者に多くみられるが、運動直後や過度の不安や緊張などから引き起こされる場合もある。
過呼吸は酸素を吸い過ぎている状態と理解されがちだが、本当は激しい呼吸を繰り返すうちに血液中の二酸化炭素が不足してしまう状態。
二酸化炭素は体にとって必要不可欠な物質で、不足すると頭痛、めまい、手のしびれ、筋肉の硬直などの症状が現われ、最悪の場合は心肺停止することもあるのです。
この二酸化炭素不足を解消するために、脳の延髄は呼吸そのものを止める命令を出し、二酸化炭素の放出を食い止めようとします。
しかし、私たちの意識を司る大脳皮質は逆に息苦しさを感じて呼吸を続けようとする・・・これが過呼吸の状態です。
大脳皮質は、呼吸ができなくなるのを異常と捉え、さらに呼吸させようとする。
また、血管が収縮してしまい、軽度の場合は手足の痺れ、重度の場合は筋肉が硬直する。
それらが悪循環になって発作がひどくなっていく。
過換気症候群によって引き起こされる症状には以下のようなものがある。
呼吸が速くなる(呼吸を深くすると胸部に圧迫を感じる)
胸部の圧迫感や痛み
動悸
目眩
手足や唇の痺れ(テタニー痙攣)
頭がボーとする
死の恐怖を感じる
(まれに)失神
直接的にこの症状が起因して死ぬ事はないが対処の方法が大事です。
呼吸の速さと深さを自分で意識的に調整すれば2~3分で自然に治まる。
このことを利用し、万一発作が起きた場合は、介助者は何もせずに、大丈夫だ、安心しなさいと、患者を落ち着かせ、息を吐くことを患者に意識させ、ゆっくりと深呼吸をさせる(「吸う:吐く」が1:2になるくらいの割合で呼吸する。一呼吸に10秒くらいかけて、
少しずつ息を吐く。また息を吐く前に1~2秒くらい息を止めるくらいがベター。
本人は落ち着かなければと思っていてもできないので協力者が胸や背中をゆっくり押して、呼吸をゆっくりするように促す。などの呼吸管理によって、二酸化炭素を増やしながらも、酸素を取り込んで、窒息しないように呼吸管理をすることが、推奨されている。
血中の二酸化炭素濃度を上げる方法(ペーパーバッグ法)がしばしば試みられた。
現在の救急現場ではむしろ以下の意味で禁忌となっています。
・穴をあけたとしても窒息する可能性がある
・過呼吸の人は大脳レベルで一時的に呼吸コントロール異常来しているので、
ペーパーバッグはさらに本人にストレス(恐怖。混乱)を来たし改善のきっかけにならない。(本人がこの方法で落ち着く場合を除く)
・ペーパーバッグで二酸化炭素を吸入することに治療効果は少ない。
「息を吐く」「精神を落ち着かせる」ことを重点的に考えてください。
過呼吸発作が起きたからといって過換気症候群とは限らないのです。
過換気症候群による失神かと思えば、実は起立性調節障害による急激な血圧低下と低血糖と言う事もありその時にペーパーバックをしてしまうと危険です。
特に40代以上で過呼吸になった方で、次の様な場合には注意が必要です。
過呼吸が起きる前後に他の気になる症状や持病があるかどうかを確かめてください。
「胸のあたり圧迫感や痛み」があった
→「肺塞栓」「心筋梗塞」「頭痛」があった
→「脳出血」「くも膜下出血」持病として「糖尿病」「腎不全」がある
→「糖尿病性アシドーシス」「腎性アシドーシス」
(※糖尿病や腎臓病が発端となって血液に異常が起きる病気で、持病が悪化していることを示しています。速やかな治療が必要です。)
次のことに注意して、呼吸のリズムを整えてあげよう!
ゆっくり吐くことを意識することで、二酸化炭素不足を解消できます。
息を吐くことを意識
「吸う:吐く」が1:2になるくらいの割合で呼吸する
1回の呼吸で10秒くらいかけて吐く
(息を吐く前に1~2秒くらい息を止めるくらいがベター)胸や背中をゆっくり押して、
息が吐けない時は天突(てんとつ)というつぼを
親指と人差し指で「くいっ」と押してみてください。
咳き込むかもしれませんが、瞬時に息を吐き出すことができます。
ご友人が過呼吸で辛い時はそばにいて話しかけたり飲み物を渡したりして安心させてあげてください。
本人にしゃべらせるという事も有効です(しゃべっている時は、過呼吸できない。)
何とか話題を考えて、とにかくしゃべり続けられるようにして安定するのを待ちます。
一般的に発作は数時間以内に自然寛解することが多いが、不安が強い場合は抗不安薬が投与される。
パニック障害やうつ病などが元疾患として存在する場合は、その治療も行われる。
頻繁に起きる方は病院での診察をお勧めします。