片頭痛

 
 
片頭痛とは

頭の片側(時に両側)が、ズッキンズキンと脈打つように痛む、女性に多い頭痛です。

片頭痛の症状
 
片頭痛は、頭の片側(時に両側)が、ズキンズキンと脈打つような強い痛み(拍動性頭痛)に襲われます。このような痛みが月に1~2回、多い人では週に1~2回発作的に起こり、数時間から3日間ほど続きます。頭痛に伴い、吐き気がしたり、光や音に過敏になったり、体を動かすと痛みがひどくなることも。頭痛が起こる「前兆」として、約10~20分間、視界がチカチカしたりギザギザした模様が広がって、ものが見えにくいといった症状が出る場合もあります。
前兆を伴わない片頭痛

中程度から重度の頭痛(多くは拍動性)が4~72時間続きます。痛みは頭の片側のことが多く、体を動かすと痛みが増強し、嘔気、嘔吐や光過敏、音過敏が起こります。
前兆を伴う片頭痛

 

 

脳局所症状[「半盲」(視野の半分が欠ける状態)や「閃輝暗点」(周囲が輝く暗点)]といった症状に引き続き頭痛が起こります。感覚障害がみられることもあります。 前兆は数分から数十分続き、その後に拍動性頭痛が起こります。
 
片頭痛の原因noutest.png
 
片頭痛の原因は現在も解明中ですが、血管説、三叉(さんさ)神経血管説などが提唱されています。
血管説 

血液中のセロトニンという脳内物質の量が変化し、血管が異常に拡張するために頭痛が起こると考えます。

三叉神経血管説 

三叉神経血管説は、脳神経である三叉神経が関与しているという説です。何らかの誘因によって、三叉神経の末端から出る痛み物質が引き金となり頭の血管が拡張し、炎症が生じると考えます。
 
片頭痛の治療

 

治療法は大きく2種類。1つは発作の痛みそのものを軽減させる治療、もう1つは起こる前に対策をする予防的治療です。

 

片頭痛の薬

 

薬物治療には、おもに片頭痛専門の薬であるトリプタン製剤と鎮痛薬が使われます。

トリプタン系薬剤

セロトニン−1(5-HT1)受容体作動薬といわれ、過度に拡張した脳血管を収縮させ、また神経性の炎症を抑えることによって頭痛発作を抑えると考えられています。頭痛発作が起こってからの投与で頭痛の改善をもたらす点、発作に伴う吐き気や嘔吐も改善するのが特徴です。

解熱鎮痛薬

ピリン系と非ピリン系などに分類されます。いずれも緩和な鎮痛作用を示します。
 
片頭痛の予防薬

片頭痛の発作を予防する予防薬は、その継続性や副作用などの点をよく考慮、検討した上で処方が行われます。片頭痛発作が月に2回以上ある患者さんには、予防療法を検討することが勧められます 。
予防薬には、次のような薬剤が使用されます。
 
β遮断薬、カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、抗てんかん薬、抗うつ薬など
 予防療法の効果判定には少なくとも2ヵ月を要します。有害事象がなければ3~6ヵ月は予防療法を継続し、片頭痛のコントロールが良好になれば予防療法薬を緩徐に漸減し、可能であれば中止することが勧めらます。
 

片頭痛の対処法と予防法

頭痛発作時の対処法と予防法として、日常生活で簡単に実践できる対策があります。
対処法

休眠
静かな部屋で横になり安静を保ちます。可能であれば、ひと眠りしてしまうのが一番です。効果/適度な睡眠により、広がった血管をもとに戻してくれると考えられています。ひと眠りが無理な場合は、椅子に座って静かにするだけでも、痛みの症状は軽くなります。日中に長時間眠ってしまうのは、逆効果になる場合がありますので、1時間程度を目安にされることをお勧めします。

頭を冷やすor温める

頭痛の時に頭を冷やしたほうが楽になるか、温めたほうが楽になるかは人によって違いますので、自分に合った方法を見つけてください。冷やす場合は、保冷パックや氷まくらをタオルなどに包み、頭の下に敷きあお向けで寝たり、額に冷たい物を乗せたりします。温める場合は、熱いタオルなどを後頭部に当てて横になったり、頭の下にタオルで包んだホットパックを敷いてあお向けになってください。
 

予防法

まぶしい光やうるさい音を避ける

蛍光灯などの明るい光やうるさい騒音、香水の匂いなどが、頭痛を引き起こす誘因になることもあります。また、こうした刺激が頭痛を一層ひどくすることもありますので、光や音の刺激をできるだけ避けてください。また、熱いシャワーを浴びたり、急に冷え込んだりするなどの温度差が、頭痛を引き起こす場合もあります。

生活習慣改善による治療

片頭痛の発作は、何らかの誘因によって起こります。つまり、発作の予防として大事なのは、発作の誘因になるようなものを減らすことなのです。生活習慣における誘因として、例えば、睡眠不足、睡眠過多、過労等による過度なストレス、長時間の一定姿勢の保持、過剰なアルコール摂取などがあげられます。


寝過ぎにも注意


片頭痛の発作時には、ひと眠りするのは効果的です。しかし、睡眠をとりすぎるのは禁物です。休日の朝などに睡眠をとりすぎると、片頭痛が起こることが多くなります。また、日常生活の過剰なストレスから一気に解放されて緊張がゆるんだ時にも頭痛が起こりやすいので、普段からストレスをためず生活のリズムを保ちよい精神状態を保つことが、大切な予防法です。

食べ物には注意が必要です

特定の食べ物や飲み物をとると頭痛が起こることもあります。たとえば、ワインやアイスクリーム、チョコレートなどは頭痛を引き起こすことがあります。誘因となる場合には、極力食べるのを控えたほうがよいでしょう。また人によって、女性ホルモンが片頭痛の誘因になることもありますので、ホルモン剤や避妊用のピルをのむ場合には、医師に相談をしてください。

 

片頭痛を医師に伝えるポイント

 

診察を受けるときは、自分の症状について要領よく説明できるようにしましょう。ポイントは事前にメモすると漏れがありません。

 

・頭痛が起こるようになったのはいつごろからか
・頭痛の頻度
・1回の頭痛が続く時間
・頭のどの辺りが痛むか
・どんな痛みか (例:ズキンズキン、締め付けられるような痛み 等)
・頭痛の程度 (例:寝込むくらい、普通に仕事や家事ができない 等)
・頭痛以外の症状 (例:熱がある、吐き気、めまい 等)
・思い当たるきっかけ (例:生理前後、週末、寝すぎたとき 等)   など
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