統合失調症とは

 

統合失調症は、およそ100人に1人弱がかかる頻度の高い病気です。こころの働きの多くの部分は保たれ、多くの患者さんが回復していきます。
 

症状


統合失調症の患者さんでは、「陽性症状」、「陰性症状」、「認知症状」と呼ばれる症状を示します。陽性症状には、他の人が経験していないような音や声が聞こえたり、ものが見えたりする「幻覚」や、真実ではないことを信じてしまう「妄想」などがあります。陰性症状とは、気力ややる気が欠落している状態で、人と話したくなくなったり、自分の外見をほとんど気にしなくなったりします。認知症状とは、集中力や学習に問題がある場合を指します。何かに集中できなくなったり、新しい情報を習得するのに困難を感じる症状です。
 

原因


原因はまだはっきり分かっていませんが、脳の機能に障害があって起こる病気であることが明らかにされつつあります。脳の中では、神経細胞同士の間で様々な情報を伝えるために、神経伝達物質という化学物質が働いています。統合失調症では、その物質が過剰に働いてしまうことで、情報伝達に混乱をきたして色々な症状が出現するらしいといわれています。
 

治療方法


基本は薬物療法です。薬物療法に加えて、病状の回復や程度に応じた精神療法やリハビリテーションが行われます。


薬物療法

治療の基礎となるものです。多くの人が適切な治療によって、陽性症状、陰性症状、認知症状を改善することができます。まずこうした症状を認識することが治療への第一歩となります。症状緩和の最善策の一つとして、化学物質のアンバランスを正すための薬物治療があります。

精神療法


患者さんだけでなくその家族もさまざまな不安や問題をかかえます。診察の場や集団での精神療法を受けることで、病気や自分のもつ症状への理解を深め、精神的な安定をとりもどし、本人が再び社会や家庭での日常生活に戻れるようになることにつながります

リハビリテーション

リハビリテーションは薬物療法によって激しい症状がおさまった後に開始します。入院中は作業療法士などによる作業療法や、レクリエーション療法などを行います。外来ではデイケアに通所して、体力や集中力の回復を図ったり、対人関係など、生活上起こるさまざまな問題を解決する技法、ストレスへの対処法を学ぶことができます。

 

抗精神病薬とは


統合失調症の治療に用いられる薬は、抗精神病薬と呼ばれています。この薬を飲むと病気のために起こっている感情不安定、妄想、幻覚、思考の障害などを軽くすることができます。脳の中で起きている情報伝達機能の混乱を改善させることによって、症状が抑えられると考えられています。

抗精神病薬の作用は、大きく3つにまとめられます。

幻覚・妄想・自我障害などの陽性症状を改善する抗精神病作用
不安・不眠・興奮・衝動性を軽減する鎮静催眠作用
感情や意欲の障害などの陰性症状の改善をめざす精神賦活作用 の3種類です。

抗精神病薬には様々な種類があります。それぞれの薬物によって、先に挙げた3種類の効果のいずれが強いかという特徴の違いがあります。それぞれの患者さんの病状を目安にして、なるべく適切な薬物を選択することになります。

抗精神病薬は「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」の2種類に分類されます。定型抗精神病薬というのは以前から用いられていた薬物、非定型抗精神病薬は最近になって用いられ始めた薬物で、脳における神経伝達物質への作用に違いがあるために、こうした名称がつけられています。
非定型抗精神病薬は、定型抗精神病薬にある副作用の軽減をひとつの目標として開発されたことから、全体としては精神面への副作用が少なめです。また非定型抗精神病薬には、認知機能を改善することで生活の質(quality of life;QOL)を高める作用が強いとの指摘もあり、期待される薬物です。

 

患者さんへの生活のアドバイス


患者さんには、主治医とよい関係を築いていただきたいです。 統合失調症は、慢性に経過することが多い病気で、短期間でなかなか病前のように回復しないことから、不安になったり待ちきれなくなったりし、病院を転々と変える場合が時々あります。
しかし、精神科の治療は個別性が高いものです。医療者にとっては、その患者さんの病状の経過や薬物の効果を知っていればいるほど、またその患者さんの生活や家族について知っていればいるほど、その患者さんに合った治療が提供できます。ですから、診断や治療に疑問が生じた時に、すぐに主治医を変えてしまわないで、まず主治医に質問や相談をしてみてください。その答えに納得ができなければ、セカンドオピニオンを求めることもできます。そうしたことを通じて主治医とよい関係を築き、統合失調症という病気に立ち向かうための仲間を増やしていくことが、よりよい治療へもつながっていきます。
 

家族や周囲の方へのアドバイス


治療の中心は本人と家族です。しかし精神科の病気は目に見えないので、家族や周囲の方にとってはなかなか理解しにくいです。家族は「わからない」、本人は「わかってもらえない」というストレスを抱えることになりがちです。 病気についての理解が進むと、そうしたお互いのストレスが減ります。また、治療にどういう仕方で協力すればよいかがわかると、そのことが病状や経過によい影響を与えます。 本人・家族・医療関係者がみんなで医療チームを組み、統合失調症という病気に立ち向うのが理想です。家族自身がつらい気持ちとなり、耐えにくい場合があるでしょう。そうした場合には、家族会に参加して同じような境遇の家族の方とつらさを語り合い、分かちあうことをお勧めします。家族会は、病院・保健所・地域など様々なところにあります。

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