膀胱炎は、大腸菌などの腸内細菌が尿道をさかのぼって膀胱で増殖して起こる病気です。腸内細菌は、大腸・直腸にすんでいる菌ですので、肛門やその周囲には必ずいます。女性の場合は、肛門からまず腟に細菌がすみつき、そこから、尿道、膀胱、腎盂(じんう)へと侵入していきます。女性が、膀胱炎や腎盂腎炎をよく起こすのはこのためです。
排尿痛・残尿感・下腹部痛・頻尿・尿混濁などが、膀胱炎の特徴的な症状です。尿が近くなり、トイレから帰ってきてもまたすぐ行きたくなったり、尿をしたあともまだ残っている感じ(残尿感)がしたりする症状ではじまります。細菌が増殖してくると、排尿時に痛みが現れます。これらの症状があっても病院に行かないで我慢していると、排尿しない時にも下腹部が痛むようになります。細菌に膀胱粘膜が傷つけられて、目でみてわかるほどの血尿が出ることもあります。血尿は、出はじめから出終わりまで同じ濃さではなく、膀胱がからっぽになる最後に強くなる排尿終末時血尿のことがほとんどです。
膀胱炎では熱はでません。熱がある時は、細菌が腎盂まで上っていって腎盂腎炎を起こしていると思われます。
診断は、尿検査と尿中細菌培養でつけられます。尿の中に、顕微鏡で1視野10以上の白血球がみられ、尿培養でも大腸菌などの腸内細菌が生えてくれば、膀胱炎と診断されます。
細菌性の急性膀胱炎では、水分を十分に摂取して尿量を増し、有効な抗菌剤を服用すれば3日以内で症状はとれ、1週間の服用で再発も防げます。排尿はがまんしないようにして下さい。また下腹部も冷えないようにして下さい。 症状がとれた段階で抗菌剤を勝手に中止すると、再発することがあります。また、症状がある時だけ薬を飲んでいると、細菌が薬への抵抗力をつけてしまうことがあるので、渡された薬は決められたとおりに飲んで下さい。