気管支喘息とは


喘息は、気管支などの空気の通り道(=気道)が、炎症によって狭くなる病気です。
喘息の気道は、炎症によりたばこや冷たい空気などの刺激に過敏になっていて、反応が起こりやすくなっています。
ちょっとした刺激で気道が狭くなって息苦しくなったりします。
炎症を放っておくと、気道の粘膜に変化が起こり、気道が狭くなったまま元に戻らなくなってしまいます。したがって、
喘息は早期に治療を開始することが重要です。
少し症状がよくなった患者さんのなかに、自分の判断で治療を中断したために、炎症のコントロールが不十分になり、
以前より重症になったケースもあります。気道の炎症と狭窄は慢性的に続いているので、発作や症状がないときでも、
継続的に治療が必要です。



気道.png


気道の炎症は、いわば「気道の火事」です。火事への対処法で大切なことは、「初期消火」と「火の用心」ですが、
喘息においても全く同じです。喘息治療における「初期消火」とは、症状が軽いうちに治療すること。
「火の用心」とは、火事の原因、つまり炎症を起こす誘因(増悪因子)となるものをチェックし、十分気をつけることです。
「初期消火」と「火の用心」で気道の炎症に上手に対処しましょう


 喘息消火.png

症状


アレルゲン、風邪などのウイルス感染、ストレスなどを引き金として気道が収縮すると、

△咳(特に夜間や早朝)や痰 
△喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸) 
△息苦しさ                        といった症状が起こります。

気管支喘息の軽症や中等症(月に1~2回、週に1回くらいの発症)であっても、風邪やストレスなどで急激に気道の炎症が
悪化し、発作や呼吸困難から死に至るケースもあります。
 

軽症・中等症の患者さんも要注意

喘息死亡例を気管支喘息の重症度別に見たときに、小児・成人ともに軽症や中等症の気管支喘息患者さんでも、喘息死に
至っているケースがあります。喘息死の原因としては風邪やストレスによる急激な悪化、気道の炎症を抑える薬の使用を
患者さん自身がやめてしまうことなどが多いとわかっています。
 

 

原因

 

気道を刺激する原因としては、ダニ、ホコリ、ペットの毛、フケ、お酒、タバコ・お香の煙、大気汚染、運動、かぜ、過労・ストレス、
気候などがあげられます。

 

治療


喘息治療の目標は、喘息をきちんとコントロールすることで、健康な人と変わらない生活が送れるようになることです。
医師が参考にする喘息治療のガイドラインでも、治療の目標が明記されています。また、喘息コントロールテスト(ACT)では、
簡単な質問をチェックするだけで、喘息のコントロール状態を点数で判定できます。「喘息のない生活」への第一歩は、
自分の状態を知ることからからです。喘息の方は自分自身のコントロール状態をチェックし、
かかりつけの先生と話し合ってみましょう。


気管支喘息の治療薬には、

毎日基本的に使用する薬(症状を予防する薬) 
発作や息苦しさがある場合に使用する薬があります


気管支喘息治療の主な薬

●症状を予防する薬の使用
毎日規則的に、気道の炎症を抑えたり、気道を拡げたりする薬を使用します。

・吸入ステロイド薬(吸入薬)

気道の炎症を抑えるお薬です。炎症が悪化するのを抑えます。


・経口抗アレルギー薬

化学伝達物質遊離抑制薬: アレルギー反応にかかわる肥満細胞からの化学伝達物質の遊離を抑えます。

ヒスタミンH1拮抗薬 : アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎を合併する場合に使われることもあります。

ロイコトリエン受容体拮抗薬: 気管支の収縮を抑える働きが強力で、また炎症をしずめる効果もあります。

Th2サイトカイン阻害薬: アレルギー反応にかかわるサイトカインを抑える。
 

・テオフィリン製剤(内服薬)
気道を拡げるお薬です。気道の炎症を抑える作用もあります。


・長時間作用性気管支拡張薬(吸入薬、貼付剤、内服薬)長時間気道を拡げる作用があり、症状を出にくくするお薬です。


●発作が起きたときに使う薬の使用
発作を鎮めるために、吸入後すぐに気管を拡げる作用がある薬(短時間作用性気管支拡張薬)を使います。


吸入薬について

喘息治療には、気道に直接効果を発揮する吸入薬がよく使われます。吸入薬には毎日規則的に使う長期管理薬と、
発作が起きたときだけに使う発作治療薬があります。さらに、長期管理薬には気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬と
長時間作用性気管支拡張薬があります。それぞれの薬の働きを正しく理解しましょう。

吸入薬は、のみ薬/注射薬と異なり気管支に直接届くため、ごく少ない量(吸入ステロイド薬では、経口ステロイド薬の
1/100~1/1000の用量)で効果を得るように作られています。また、全身に吸収される量が少ないため、副作用も
少ないと考えられています。

 

 

いつまで治療を続ける?

喘息は、高血圧や糖尿病などと同じ慢性の病気です。したがって、喘息治療も長く続けることが基本です。しかし、
薬によって喘息を上手にコントロールすることができれば、気道の状態を観察しながら、主治医の先生の判断によって、
お薬の量を減らしていくことも可能です。
 

 

毎日の生活で気をつけること


休息と栄養をたっぷりとり、アレルゲンを避け、きちんと服薬して自己管理に努めましょう。

・本人も家族も禁煙する
・毛の長いペットは飼わない
・お酒はひかえる
・食べ過ぎに注意する
・急な温度変化に」注意する
・過労・ストレスを避ける
・部屋をこまめに掃除する
・布団をこまめに干す
・風邪を予防する
・薬をきちんと服用し、自己判断で中止しない
・定期的に通院する
・規則正しい生活をする
 

「ピークフロー値」を測りましょう

発作の発生を予測する手段として、「ピークフロー値」の測定が効果的とされています。「ピークフロー値」とは、
できるだけ深く息を吸い込んだ後、できるだけ速く吐き出した息の速度のことで、携帯用の機器で簡単に測ることが
できます。この「ピークフロー値」は、発作に先立って下がることが多いとされていて、発作の事前に薬剤を使用したり
増量させたりすることができます。

特に成人では、治療しなくても症状がない状態(寛解:かんかい)になることがあり、一方で喘息を長くわずらっていると、
自分の状態がどの程度なのか客観的に分かりにくくなります。喘息の状態を把握して、発作を含めた喘息の症状に
対応するためにも、「ピークフロー値」の測定は重要です。


喘息日誌で毎日の病状を把握しましょう

喘息日誌とは、毎日の咳の状態(ゲホゲホという咳、ゼイゼイ・ヒューヒューという息の音、呼吸の苦しさ)や
薬剤の使用状況、ピークフロー値、その日の天候などを記録するものです。日誌を付けて身体の状態を把握することには、
さまざまなメリットがあります。

喘息日誌のメリット

医師が、喘息症状の推移などを把握しやすくなる。
日常生活、天候などと合わせ、発作の原因や起きやすいタイミングを把握できる。
ピークフロー値の変動がとらえやすい。
服薬の状況や変動が分かる。
発作時など、他の医療機関の受診時にも役立つ。(薬剤の使用状況など)

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