鉄欠乏性貧血

概念

血液中の赤血球にはヘモグロビンというタンパク質が存在します。このヘモグロビンは鉄イオンを含んでおり、全身に酸素を運搬する重要な働きをしています。しかし、体の中の鉄イオンが減るとヘモグロビンが作られなくなり、酸素を全身に供給することができなくなります。これが鉄欠乏性貧血です。

 

症状

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主な症状としてだるさ、疲れやすくなる、軽い頭痛、めまい等があります。さらに長い期間続くと、消化管粘膜が縮んで嚥下障害(物が呑み込みにくくなる)や胃炎がみられることもあります。また、鉄欠乏性貧血に特徴的な症状として爪がスプーンのように曲がるスプーン状爪が挙げられます。

http://tsume-byouki.net/spoon.shtml

 

成因

  1. 鉄の摂取不足

鉄を含む食物の摂取不足、消化管手術等。また、胃の切除手術によって胃酸分泌が少なくなると鉄が吸収されにくくなります。

  1. 鉄の排泄の増加

消化管出血、悪性腫瘍等。

  1. 鉄消費の増大

成長期、妊娠・授乳期には多くの鉄が必要となり、鉄の消費が増大します。

 

検査

血液検査で調べることができます。鉄欠乏性貧血があると、赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値(血液中の血球体積の割合)、MCV(赤血球1個の大きさ)が低下します。

 

治療

薬物治療

原則として鉄製剤を飲みます。消化管からの吸収が難しいと考えられる場合は鉄の注射薬を使用することもあります。

服薬上の注意

・貧血症状が改善した後も約半年は飲み続けます。これは、血液中の鉄が十分になった後でも体に蓄えられている鉄の量は不十分な状態にあり、完全に正常化するまで時間がかかるからです。

・鉄製剤は一部の医薬品の吸収を妨げることがある為、他の診療科や医療機関にかかっているときは必ず医師又は薬剤師に伝えて下さい。お薬手帳を活用することをお勧めします。

・鉄製剤を飲んでいるときは便が黒色になることがあります。これは吸収されなかった鉄によって着色しているので心配ありません。

 

 

食事療法

鉄分を多く含む食品を積極的に摂取して下さい。レバー、ひじき、大豆などに多く含まれています。鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄は非ヘム鉄の56倍吸収されやいとの報告もあり、さらに胃を荒らしにくいという特徴があります。レバー等の動物性食品にはヘム鉄が、ひじき等の植物性食品には非ヘム鉄が多く含まれています。また、ビタミンCは非ヘム鉄をヘム鉄に還元してくれるため、ビタミンCを一緒に摂取することも効果的です。

 

鉄を多く含む食品

ヘム鉄を含む食品

非ヘム鉄を含む食品

豚レバー

13mg

ひじき

55mg

鶏レバー

9.0mg

卵黄

6.0mg

しじみ

5.3mg

油揚げ

4.2mg

あさり

3.8mg

大豆

2.0mg

 

参考

・宮本謙一. 薬学生・薬剤師のための疾患別薬物療法管理マニュアル じほう(2010) 1107-1109

・文部科学省(2005)五訂増補日本食品標準成分表

E.B.Rasmussen et al. 1974. Food Iron Absorption in Man. The Journal of Clinical Investigation. 53: 247-255

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